理化学研究所(理研)の研究グループは、三回回転対称性を有する層状超伝導体「PbTaSe2」で、磁場や磁化がなくても「超伝導ダイオード効果」が現れることを発見した。
理化学研究所(理研)の研究グループは2024年8月、三回回転対称性を有する層状超伝導体「PbTaSe2」で、磁場や磁化がなくても「超伝導ダイオード効果」が現れることを発見したと発表した。
電流には、「常伝導電流」と「超伝導電流」がある。超伝導ダイオード効果を応用すると、電流を流す向きによって超伝導電流と常伝導電流を切り替えることができる。これまでは、外部磁場や磁化が存在する条件下で研究されていた。ただ、応用分野を広げようとすれば、磁場のない状況での動作が求められる。
研究グループは今回、Pb(鉛)やTa(タンタル)、Se(セレン)からなるPbTaSe2を用い、超伝導ダイオード効果の測定を行った。この結果、無磁場で時間反転対称条件下の超伝導ダイオード効果を観測することができたという。
さらに、正方向と負方向の電流値を切り替えた時の、電圧の振る舞いを見ると、正方向の電流を流すとゼロ抵抗(超伝導状態)、負方向の電流を流すと有限抵抗(常伝導状態)となった。また、電流方位依存性や磁場依存性を詳細に測定した。これにより、超伝導ダイオード効果の本質的な起源は、空間反転対称性の破れた結晶構造にあることを明らかにした。
今回の研究成果は、理研創発物性科学研究センター創発デバイス研究グループの板橋勇輝基礎科学特別研究員、岩佐義宏グループディレクター、創発光物性研究グループの王子謙特別研究員(研究当時)、小川直毅グループディレクターらによるものである。
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