レゾナックは、AI(人工知能)を活用した最新のシミュレーション技術を用い、CMPスラリーによる半導体回路の研磨メカニズムを解明した。一般的な計算手法である「第一原理計算」では1000年以上かかる計算を、同程度の精度を維持しつつ100時間で行うため、新材料の開発期間を大幅に短縮できるという。
レゾナックは2024年8月、AI(人工知能)を活用した最新のシミュレーション技術を用い、CMPスラリーによる半導体回路の研磨メカニズムを解明したと発表した。一般的な計算手法である「第一原理計算」では1000年以上かかる計算を、同程度の精度を維持しつつ100時間で実行するため、新材料の開発期間を大幅に短縮できるという。
半導体用新材料の開発工程では、効率を高めるためシミュレーション技術を活用することが多い。半導体製造プロセスでは、接合する材料間の界面における相互作用を計算するのに、第一原理計算を用いるのが一般的だという。ただ、計算に多くに時間と計算能力を必要とするため、複雑な化学反応などを伴う半導体材料の開発には適していないという。
今回、レゾナックがCMPスラリーによる半導体回路の研磨メカニズム解析に導入したのは、第一原理計算と人工知能(AI)を融合した新しいシミュレーション技術「ニューラルネットワークポテンシャル(NNP)技術」である。第一原理計算から得られた数千万件のデータをAIに機械学習させる。これにより第一原理計算と同程度の高い精度で、大規模なシミュレーションを10万倍以上という高速で実行できるという。
NNP技術は、界面や異種混合などの複雑な解析にも有効なため、レゾナックはCMPスラリー以外の半導体材料分野にも適用していく予定である。
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