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AMDがSilo AIを買収完了 NVIDIAの牙城に迫れるか欧州最大の民間AI研究機関

AMDは2024年8月、欧州最大の民間AI(人工知能)研究機関であるSilo AIの買収を完了した。Silo AIの高度な技術や人材、顧客基盤を活用して、AMDはNVIDIAが支配する生成AI市場でシェアを獲得できるのか。

» 2024年09月27日 15時30分 公開

 AMDは2024年8月、欧州最大の民間AI(人工知能)研究機関であるSilo AIの買収を完了した。AMDがSilo AIを約6億6500万米ドルで買収する正式契約の締結を発表した2024年7月から、わずか1カ月での買収完了となった。当初、買収手続きは2024年後半に完了する予定だった。AMDのCEO(最高経営責任者)であるLisa Su氏と同氏の率いるチームが発表していたスケジュールに対し、予定通りどころか予想をはるかに上回る速さで買収を実行したのだ。

AMD CEO(最高経営責任者)のLisa Su氏 AMD CEO(最高経営責任者)のLisa Su氏[クリックで拡大] 出所:AMD

 Silo AIは、高度な技能と実績を持つAI科学者/エンジニアたちを輩出するだけでなく、独自のAIモデルやプラットフォーム、ソリューション、確立された顧客基盤も備えている。Silo AIの既存顧客の大半は欧州の企業で、AllianzやRolls-Royce、Unileverといった一流企業を含む。AMDは自社のAIソリューションを強化しながら、将来の取引に向けたグローバルな顧客基盤を手にすることになる。

 戦略的には、今回の買収は最適なタイミングで行われた強力な組み合わせだといえる。生成AIは現在、初期の実験段階から価値創造の段階へと移行しつつあり、企業は売上高と純利益の両方を増加させるために自らの力を活用する方法を見つけ出そうとしている。生成AIの力を活用する上で鍵となるのは、企業の特定ニーズに合わせて、企業独自または専用のデータで大規模言語モデル(LLM)を迅速かつ低コストでトレーニングできるようにすることだ。

 Silo AIによってAMDは、AMDベースのプラットフォームを含むあらゆるAIインフラを利用する潜在顧客にこうしたソリューションを提供できるようになる。さらに、AMDが同社のプラットフォーム向けに最適化された新しいオープンソースLLMを開発することによって、フルスタックのソリューションで競争力を高めることができる。そして、AMDがSilo AIの専門技術を利用して、NVIDIAの「CUDA」で開発されたモデルをAMDの「ROCm」モデルに移植し、NVIDIAベースのプラットフォームからAMDベースのプラットフォームへの移行をサポートすることも、決して無理なことではない。

 現在、生成AI市場はNVIDIAが主導している中、AMDは貴重な競合勢力の筆頭だ。しかし、既に実績があるNVIDIAから市場シェアを獲得するには、潜在顧客が可能な限り負担なく低コストでAMDに移行できるようにサポートする専門知識が必要だ。Silo AIの買収は、AMDがこうした目標を達成し、顧客にカスタマイズされたAIモデルやソリューションを提供していく上で、大きな一歩となる。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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