Imaginationは、数年にわたる「再起動」の一環として、イノベーションおよびエンジニアリング部門の新チーフを務めるTim Mamtora氏を含む新しいリーダーを採用した。
Beresford-Wylie氏は、「Mamtora氏は抜本的な改革に取り組んでチームを軌道に乗せることに注力し、当社はインフラに投資することでそれを支えてきた。そうしなければ、当社の拡大に影響が出ていただろう。製品チームもセグメントの焦点を絞り、素晴らしい成果を上げた」と述べている。
このように抜本的な再起動が行われたが、一方で変わっていないこともある。
Beresford-Wylie氏は、「当社は依然として、自動車、データセンター、デスクトップの3つのセグメントに特に重点を置いているが、モバイル/コンシューマーは今や第4のセグメントといえるほど重要になっている。戦略の観点での方向転換はないが、変わってきているのはAIの重要性だ」と述べている。
Imaginationは、過去1年半でAI技術戦略も見直した。同社は、3世代にわたるスタンドアロンのニューラルネットワークアクセラレーターのIPを有しているが、この後継の開発を中止した。
Mamtora氏はEE Timesに、「他のほとんどの企業と同様に、畳み込みニューラルネットワークアクセラレーターを見て、『よし、うちでもこれを開発しよう』と考えた。だが、行列積演算に優れたハードウェアの開発に着手すれば、それに対応するソフトウェアスタックは何か、それを顧客や開発者にどのように公開するのかという課題に直面することに気づいた」と語った。
Mamtora氏は、「特に、AIモデルやフレームワークの進化の速度と、AIソフトウェアインフラが断片化している現状を考えると、IPサプライヤーであるわれわれがAIアクセラレーターを開発するのは難しかった」と述べている。ImaginationがAIアクセラレータの開発を中止する決断に至った主な理由は、AIソフトウェアスタックの開発における課題だったという。
「当社のチップでMobileNetやResNetといったAIモデルを実行するのを見て、多くの顧客が『自社開発したモデルも動作できるようにしてほしい』と相談してきた。その後、Imaginationのチームは未熟なものを動作させようとして、2〜3週間にわたって競合他社と競い合うことになった」(Mamtora氏)
エンドユーザーのアルゴリズム移行と最適化、そして長期にわたるサポートは、非常に困難な課題となった。Imaginationの顧客は、自社の顧客向けにソフトウェアをカスタマイズしたいと考え、そのサポートをImaginationに任せようとした。
「この作業量は膨大だ。AIアクセラレーターは、単に『自社で開発できるハード』ではなく、『ソフトをサポートするための膨大なリソースを必要とするもの』になってしまった。顧客は多くのレベルのサポートを必要としていた。AIアクセラレーター開発はとても持続可能だとは思えなかった」(Mamtora氏)
現在、Imaginationの新しいAI戦略は、エッジAIをエッジGPUに導入することに重点を置いているという。Imaginationは、電力効率や効率的なデータ移動など、AIの主要な課題はすでにGPU IPによって解決済みだと考えている。
【翻訳:田中留美/滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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