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「再起」を加速するImagination、エッジAI強化に向け1億ドル調達AI戦略を見直し(1/2 ページ)

英国のIP(Intellectual Property)プロバイダーであるImagination Technologiesは、1億米ドルの資金を調達した。グラフィックス/コンピュート/エッジAI向けの技術開発支援や、野心的な成長目標の実現に向けて投入する予定だという。

» 2024年09月30日 13時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]

 英国のIP(Intellectual Property)プロバイダーであるImagination Technologies(以下、Imagination)は、Fortress Investment Groupから1億米ドルの投資資金を調達した。Imaginationはこの資金を、グラフィックス/コンピュート/エッジAI向けの技術開発支援や、野心的な成長目標の実現に向けて投入する予定だという。

最大顧客を失い事業を売却 混乱の数年間

Imagination Technologies CEO(最高経営責任者)のSimon Beresford-Wylie氏 Imagination Technologies CEO(最高経営責任者)のSimon Beresford-Wylie氏 出所:Imagination Technologies

 同社は1985年に設立され、そのIPは今や世界中で130億台のデバイスに搭載されている。近年は、2017年4月に最大顧客だったAppleを失い、同年6月には買収していたMIPS事業の売却を決定、同11月には中国資本のプライベートエクイティ企業Canyon Bridgeに買収されるなど、混乱に直面している。それ以来、再建に向けて取り組み、新たな経営体制を整えて前進してきたが、その中でさまざまな問題も生じている。

 ImaginationのCEO(最高経営責任者)であるSimon Beresford-Wylie氏は、米国EE Timesの独占インタビューの中で、「中国市場は、想像以上に困難な状況にある。というのも、英国の輸出管理体制や中国のエンティティリストが、当社とその売上高にも影響を及ぼしているからだ。そのため、収益とコストのバランスをとるべく、2023年に一部の事業縮小を行った」と述べている。

 2019年当時、ImaginationのCEOだったRon Black氏は、EE Timesのインタビューの中で「中国は、Imaginationの2019年の事業全体の3分の1を占めている」と述べていた。規制環境がより厳しくなると同時に、新型コロナウイルス感染症関連の中国の対応が市場に影響を及ぼし、中国顧客は手元資金の温存体制に入っていった。こうした要因が組み合わさり、Imaginationはデータセンター/デスクトップ部門で中国の主要顧客を一部失った。Beresford-Wyli氏によれば、このために同社の売上高は横ばい状態になり、2023年末には従業員数が30%減少するという苦境に陥った。

 同氏は、「こうした状況は、特に当社を去った人たちをはじめ、全ての従業員に痛みをもたらし、残されたメンバーは深い悲しみに襲われた」と述べる。

 しかし、2024年上半期は順調だったという。「過去数年間と比べると中国関連の規制環境が明確化し、いくつかの大手企業との取引もクロージングに近づいている」(Beresford-Wyli氏)

 Beresford-Wylie氏は、同社にとっての2016〜2020年を「トラウマだ」としながらも、「それ以降は注目度が向上し、安定して顧客を獲得できていて、満足している」と語る。これには、アジアと米国の超大口の顧客が含まれる。

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