英Imagination TechnologiesがRISC-Vコア関連のビジネスに力を入れている。2024年4月には、RISC-V CPUコアの新製品「APXM-6200」を発表した。Armコアからの移行が容易になるソフトウェアもそろえている。
Imagination Technologies(以下、Imagination)がRISC-Vコア関連のビジネスに力を入れている。同社は2024年6月、日本で記者説明会を開催し、現在の戦略とRISC-Vコアの新製品について語った。
ImaginationのChief of Innovationを務めるTim Mamtora氏は説明会の冒頭で、「過去4〜5年で、Imaginationは大きな戦略転換を図ってきた」と強調した。「1つのセグメントの製品を、1つの特定企業に提供するビジネスモデルを大きく変更し、顧客、製品、セグメントの全てで多様化を図った」(同氏)。「特定の1社」とは言うまでもなくAppleである。Imaginationは2017年にAppleから「GPUコアの利用停止」通告を受けて以来、中国Canyon Bridgeによる買収などを経て、ビジネスモデルの転換や製品ラインアップの刷新などを図ってきた。
製品としては、GPUのコアIP、CPUのコアIP、そしてGPU/CPU上で動作するAI(人工知能)アクセラレーターIPを手掛ける。特にCPU IPは、RISC-Vへの関心の高まりを背景に伸びているという。ターゲット市場には、モバイル、自動車、データセンター/デスクトップ、コンシューマー/IoT(モノのインターネット)を据える。
Imaginationの日本法人イマジネーションテクノロジーズで代表取締役を務める内村浩幸氏によれば、日本では自動車が堅調な他、コンシューマーやインダストリアル(産業機器)でも売り上げが拡大しているという。「ティア1、自動車メーカーとの交渉も増えており、ビジネスは拡大している」(同氏)
Imaginationが特に注力しているのがRISC-V関連のビジネスだ。「われわれは30年間にわたりIPビジネスに携わっており、IPに精通している。RISC-V CPUにGPUのIPを組み合わせて提供できるという強みもある」とMamtora氏は述べる。
RISC-Vは2030年までに、民生機器、産業機器いずれにおいても年平均成長率(CAGR)40%以上で成長すると予測されている。RISC-Vをけん引する要因の一つはAIだ。生成AIを含め、AIの普及に伴い、半導体に対する性能の要求も上がる。ImaginationでProduct Management of Vice Presidentを務めるShreyas Darashri氏は、「課題はコストだ。民生機器、産業機器ともに、コストは考慮すべき最優先事項の一つである」と語る。「ArmのCPUは性能が上がるとチップサイズが大きくなる。大きなシリコンは、当然コストも高い」。もう一つの課題は、ArmからRISC-Vへ移行する際の信頼性やエコシステムだ。「RISC-Vについては、セキュリティやエコシステムがまだ不十分だというイメージを持つユーザーも多いのが現状だ。こうした懸念を払拭すべくわれわれが開発したのが、RISC-Vベースの64ビットアプリケーションプロセッサコア『APXM-6200』である」(同氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.