TDKは2020年からフランスの研究機関CEAと協業し、スピンメモリスタを用いたAIデバイスの開発を進めている。この協業によりTDKは、スピンメモリスタを搭載したAI回路で音声分離を行うコンセプトデモを完成させ、CEATEC 2024で披露する。
デモでは、クラシック音楽とスピーチ、雑音の3種類の音を未知の比率で混合する。AI回路は3種類の音をリアルタイムで学習しながら聞き分け、分離していく。雑音が大きくなるなど混合する比率が変わっても、リアルタイムで学習し直して分離を継続する。一般的なAI(機械学習)で同様の音声分離を行う場合、音を事前に学習する必要があるため、混合する比率が変わるとそれに対応することは難しい。
TDKは今後、スピントロニクス研究に強い東北大学も加えた3者連携により、12インチウエハーでスピンメモリスタアレイと回路を試作し、チップレベルでの性能検証を進める。2027年までの実用化と、2030年までの量産技術確立を目指す。「集積する際の課題として歩留まりが挙げられる。歩留まりを向上させつつ、いかに集積を拡大していくかが鍵になる」(TDK)
スピンメモリスタ自体の性能改善も進める。TDKは「材料レベルからの開発が欠かせない。具体的には、スピンメモリスタの磁壁をゆっくりと安定して動かせるような材料が必要になる」と語った。
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