生体神経組織の動作を模倣するトランジスタを開発:ゆっくりした動作で超低消費電力(2/2 ページ)
開発したリーク積分トランジスタは、人工的に生体神経系の動作を模倣したニューラルネットワークの構築に適しているという。今回は、ランダムに接続された256個のニューロンとシナプスからなるニューラルネットワークを想定して、リザバー計算という枠組みで学習と推論を行った。
開発した「遅い」素子を想定したシミュレーションでは、2人が書いた三角形の図形の中から、1人の図形のみを学習させて筆跡鑑定を行ったところ、別の人が書いた図形を「筆跡の異常」と判断した。ゆったりとした素子動作が今回のポイントで、10万倍速い素子を想定したシミュレーションでは、異常検知に失敗した。
ニューラルネットワークを利用した筆跡の異常検知のシミュレーション[クリックで拡大] 出所:産総研他
今回の研究は、産総研電子光基礎技術研究部門強相関エレクトロニクスグループの井上悠研究員と井上公上級主任研究員および、東京大学や九州大学、兵庫県立大学、名古屋工業大学らが共同で行った。
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