今回のソリューションは具体的には、スマートモジュールに搭載されたQualcomm製システムLSI上のNPUを活用することで、メインユニットでのエッジAI処理を実現する。NPUは、3.5、6、9、12TOPSから処理能力を選択可能だ。
また、今後さらに高速化したラインアップを拡充していく予定だといい、説明担当者は「顧客のニーズに合わせて対応していくが、Qualcommの製品では例えば、最大48TOPSのものある。これはLLM(大規模言語モデル)を回せるくらい強力な性能で、十分なラインアップになるだろう」と述べていた。Qualcomm製を採用した理由としてはこの他、「顧客の用途によってはLTEを利用し、高いセキュリティでクラウドとも接続したいといったニーズもあると考えた。スマートモジュールの中にLTEの通信モジュールを組みやすいプロセッサとしてはQualcommが群を抜いている」などと述べていた。今回、スマートモジュールではWi-FiやBluetooth接続を標準装備としているが、LTE対応モデルも展開する。
この他、画像処理用ISP(Image Signal Processor)もシステムLSIに搭載されているが、「15年超のISPサポート経験を有する当社が、顧客のニーズに対応する形で、ISP画質調整をサポートする」としている。
ソリューションでは、スマートモジュールを搭載するメインユニットに加え、カメラユニットおよびパネルユニットも併せて提供する。いずれもV-by-One HS技術を適用したSerDesチップセットを採用している。メインユニットは4Kの2カメラ映像入力とディスプレイ出力が可能な構成で、ザインのPMICおよび、静電気からシステム基板を守る過渡電圧抑制デバイス(TVS)も搭載する。なお、カメラの接続数の増加などについても、「この構成ではなくなるが、当社で準備しボードソリューションとして提供するなど対応していきたい」としている。
カメラユニットには、同社のカメラ用V-by-One HS製品を搭載し、4K映像信号と制御信号を15mの長距離にわたってメインユニットまで伝送可能となっている。パネルユニット側も同様に同社のディスプレイ用V-by-One HS製品を搭載。こちらもメインユニットから15mに及ぶ映像および制御信号のデータ伝送が可能だ。また、GPIOも高速伝送できることから、ディスプレイ上のタッチパネルの制御信号やスマートモジュールへの割込信号の応答速度に優れるほか、液晶ディスプレイのバックライトコントロールの設計が容易になるなど、GPIOの利便性と設計自由度が高い点も特長としている。
適用ユースケースとしては、顔認証システムやコンビニ、店舗などのAIカメラ搭載デジタルサイネージ/ディスプレイ、AIカメラ店舗マーケティング、防犯用監視カメラシステム、駅構内や産業施設における安全監視(姿勢認識)システム、ドライブレコーダーなどによる車線認識、居眠り警告など運転者支援システムおよび、物流倉庫ロボットや工場内無人搬送車(AGV)などの各種ロボットを挙げている。これらに対応した各種画像認識アルゴリズムなども提供していく方針で、「『実際にはこう使いたい』といった具体的な顧客のニーズに対応した形で提供/サポートしていく」としている。
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