こうした手法は、コンピュートシリコンやHBMスタック、パッケージングなどを考慮している。Marvellは、「スタックそのものを含め、HBMのメモリサブシステムをカスタマイズすることにより、クラウドデータインフラのカスタマイゼーションを推進していく。HBMメーカーとの協業により、この新しいアーキテクチャを実行し、クラウドデータセンターオペレーターのニーズに応えていきたい」と述べる。
MarvellのカスタムHBMコンピュートアーキテクチャは、内部のAIコンピュートアクセラレーターシリコンダイとHBMベースダイの間のI/Oインタフェースをシリアル化/高速化することにより、XPUの高性能化を実現するという。そのため、標準的なHBMインタフェースと比べて性能を大幅に高め、インタフェース消費電力を最大70%削減することが可能だ。また、最適化されたインタフェースによって、各ダイに必要なシリコン面積を縮小し、HBMのサポートロジックをベースダイに統合できる。
Marvellによると、最大25%の面積縮小により、コンピュート性能の向上や、新機能の追加、HBMスタックのサポートを最大33%増加させることなどが可能で、XPU当たりのメモリ容量が増加するという。こうした性能向上により、クラウドオペレータのTCOを削減しながら、XPUの性能/電力効率を高められる。
Samsung Semiconductorのバイスプレジデントを務めるIndong Kim氏は、Marvell Analyst Dayで行われたパネルディスカッションにおいて、「顧客企業からは、PPA(Power, Performance, Area)の最適化に関して非常に多くの要望がある。このため、カスタマイゼーションは避けられない」と述べている。
SK hynix AmericaのDRAM技術部門担当バイスプレジデントであるSunny Kang氏は、同じパネルディスカッションで、「顧客企業がワークロード/インフラ向けに最適化されたソリューションを生み出せるようサポートするためには、カスタムHBMへの移行は不可避だ」と強調した。
Moor Insights & Strategyの創設者でありCEOを務めるアナリストのPatrick Moorhead氏は、MarvellのカスタムHBMアーキテクチャの発表において、「カスタムXPUは、特定のクラウド固有のワークロードに向けた市販の汎用ソリューションと比べて、優れた性能とワット当たり性能を提供する。Marvellは、カスタムコンピュートシリコン分野のプレイヤーとして、既に大手クラウドメーカーに専用ソリューションを提供している。このような最新のカスタムコンピュートHBMアーキテクチャプラットフォームは、カスタムシリコンのTCOを改善するための新たな方策を提供する。Marvellは、大手メモリメーカーとの戦略的協業により、クラウドオペレータがXPUや高速化するインフラを拡充し、未来のAI実現への道を切り開いていけるよう支援する態勢を整えている」と語っている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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