Infineon Technologiesが、モーター制御および電力変換システム向けに特化した、Arm Cortex-M33ベースの高性能マイコン「PSOC Control」第1弾の発売を発表。同社の産業用およびIoT MCU担当シニアバイスプレジデントであるSteve Tateosian氏がその詳細を語った。
Infineon Technologies(以下、Infineon)は2025年1月21日(ドイツ時間)、モーター制御および電力変換システム向けに特化した、Arm Cortex-M33ベースの高性能マイコン「PSOC Control」第1弾の発売を発表。同月23日、同社産業用およびIoT MCU担当シニアバイスプレジデントであるSteve Tateosian氏がその詳細を語った。
汎用マイコンとして「XMC」や、旧Cypress Semiconductor(2020年に買収)の「PSoC」などを展開してきたInfineonは2024年、今後新たに発売する民生/産業機器向けマイコンは「PSOC」ブランドに統一するとし、エッジデバイス向けで汎用の「PSOC Edge」、モーター制御と電力変換システムに特化した「PSOC Control」、無線通信機能を強化した「PSOC Connect」の3ファミリーを展開する予定だと発表していた。このうちPSOC Edgeについては第1弾となる「PSOC Edge E8」シリーズを発表。2024年4月にドイツで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」ではデモを展示した。
今回発表したのは、PSOC Controlファミリーの第1弾となる「PSOC Control C3(以下、C3)」だ。なお、PSOC Edgeは上述の通り第1弾の詳細を発表済みだが本格展開は2025年第2四半期になる予定で、PSOC Connectは2026年の発表を予定しているため、C3は、PSOCブランド製品としては初の市場展開になるという。
C3ファミリーはモーター制御および電力変換に特化した、エントリーラインおよびメインラインの製品をまず展開する。具体的なターゲットアプリケーションは、家電製品、産業用ドライブ、ロボット、小型電気自動車(LEV)、太陽光発電、HVACシステムなどだ。
Infineonが、C3ファミリーの大きな特長として挙げるのが、高速の制御ループを可能にする機能だ。次世代の産業用モーターおよび電力変換アプリケーションでは、システム効率の向上を目的として、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などのワイドバンドギャップ(WBG)半導体を用いた設計を採用するため、ますます高速の制御ループが要求されているという。Tateosian氏は説明の中で「WBGデバイスが電力変換やモーター制御システムの開発者にもたらす能力を最大限に活用できるよう、性能を大幅に向上させた」と強調していた。なお、PSOC Controlファミリーは今後、産業用通信のサポートなど、ポートフォリオを拡大していく方針だ。
Infineonによると、PSOC Controlがターゲットとするモーター制御MCUの市場は2024年の17億ユーロから2029年には23億ユーロと年平均成長率(CAGR)7%で伸びていく見込みだ。電力変換向けも、AIサーバの急成長を追い風に、2024年の8億ユーロから2029年には13億ユーロとCAGR9%で順調に成長する見込みだという。
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