Infineon Technologiesはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」において、IoT機器などでのエンドデバイスで本格的なAI搭載が実現できる最新マイコンファミリー「PSOC Edg E8シリーズ」の詳細を公開した。
Infineon Technologies(以下、Infineon)はドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2024」(2024年4月9〜11日)において、IoT(モノのインターネット)機器などでのエンドデバイスで本格的なAI(人工知能)搭載が実現できる最新マイコンファミリー「PSOC Edge E8シリーズ」を紹介し、実製品を用いたデモを行った。
Infineonは汎用マイコンとして「XMC」や、旧Cypress Semiconductor(2020年に買収)の「PSoC」などを展開しているが、2024年3月に開催した説明会で、今後新たに発売する民生/産業機器向けマイコンは「PSOC」ブランドに統一することを明かし、そのPSOCシリーズとして、エッジデバイス向けで汎用の「PSOC Edge」、モーターと電力制御に特化した「PSOC Control」、無線通信機能を強化した「PSOC Connect」の3ファミリーを紹介していた。
今回のEmbedded World 2024でInfineonは、PSOC Edge初の製品であるPSOC Edge E8シリーズの詳細を公開し、ブースにおいてデモ展示も行った。
下図がPSOC Edgeの特長をまとめたもので、主に、高性能/低消費電力、より多くのメモリリソース/SoC統合、よりロバストなセキュリティ、充実した開発環境、機械学習(ML)機能、グラフィック機能の6つが挙げられている。
同社は今回PSOC Edge E8シリーズとして、E81/E84/E84の3製品を発表している。3製品ともCPUコアは、ベクトル拡張技術「Arm Helium」搭載の「Arm CortexーM55」と「Arm CortexーM33」をそれぞれ1個搭載している。
また、3製品ともニューラルネットワーク(NN)を加速することを目的としたInfineon独自のハードウェアアクセラレーター「NNLite」も搭載。E83とE84についてはML推論処理に特化したNPUである「Arm Ethos-U55」も追加していて、より高度なMLを実現している(E81はエントリー向け的な位置付けでEthos-U55は非搭載となっているが、「NNLiteとArm Helium DSPテクノロジーが有効的に活用できる」と説明している)
Infineonのコネクテッドセキュアシステムズ事業部プレジデントを務めるThomas Rosteck氏は、ArmのCortexーM55とEthos-U55の採用および、採用製品による高性能/低消費電力の実現が、同社にとっての大きな付加価値であり差別化要素になるとしていて、「Armのようなエコシステムの利点は、その周りに開発者のエコシステムがあることだ。Infineonは(Armの)コアとアクセラレーターを利用し、それを中心としたチップ/ソリューションを構築している。これは単に2つの間のバスではない。効率をより高めるためにできることは多い」と語っていた。
具体的な機能としては、3製品とも起動と制御のための音声、オーディオセンシングをサポート可能だ。またE83とE84は、MLベースのウェイクアップ、ビジョンベースの位置検出、顔やオブジェクト認識など、高度なHMI(ヒューマンマシンインタフェース)実装のための機能も対応。さらにE84は、最大1028×768の低電力グラフィックスディスプレイ機能を実現する2.5D GPUコアを備えている。
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