豊橋技術科学大学は、2種類の化学物質を面で捉え、高い空間分解能で可視化計測ができる「半導体イメージセンサー」を開発したと発表した。脳機能の解明などが可能になるとみている。
豊橋技術科学大学電気・電子情報工学系の澤田和明教授や土井英生特任助教らによる研究チームは2025年2月、2種類の化学物質を面で捉え、高い空間分解能で可視化計測ができる「半導体イメージセンサー」を開発したと発表した。脳機能の解明などが可能になるとみている。
脳内には1000億個の神経細胞とその10倍の非神経細胞(グリア細胞)が存在する。細胞と細胞のつなぎ目には微小な空隙があり、その間を化学物質やイオンといった神経伝達物質が移動する。これにより、細胞が発する活動電位が電気信号となり情報が伝達される。
脳の詳細な機能や病態を調べるには、細胞レベル(数ミクロン)から細胞集団レベル(数百ミクロン)という、小さな細胞外空間に分布する化学物質の動態を可視化計測する方法などがある。ところが現状では、化学信号を計測するデバイスのほとんどが、直径数十ミクロンの微細な単一電極や、数百ミクロン間隔に電極を並べ電流を流すタイプである。このため、化学情報の分布をミクロンレベルで計測できなかったという。
そこで研究チームは、水素イオンに感応する電位検出素子を集積し、イオンの動きを観測できる半導体イメージセンサーを開発してきた。そして今回、半導体イメージセンサー上に金属電極を6μm間隔で格子状に形成し、生体分子を選択的に検出できる認識素子(酵素)を設けた。
これにより、記憶形成に関わる乳酸と水素イオンをリアルタイムに同時計測することが可能となった。生体分子に対応する認識素子を電極上に塗り分ければ、ミクロな空間領域で変化する2種類以上の神経伝達物質を計測することができるという。
共同研究している山梨大学医学部の研究者らと行った脳組織の計測実験では、薬剤刺激に細胞が応答し、乳酸が放出される様子と細胞外pHを同時に可視化することに成功した。
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