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半導体製造で10nm以下の微小欠陥を高感度で検出機械学習を活用し過検出を大幅抑制

日立製作所は、日立ハイテクの協力を得て、半導体製造工程で発生する10nm以下の微小な欠陥を、高い感度で検出できる画像処理技術を開発した。機械学習を活用することで、「欠陥」とそうではない「製造ばらつき」の判別が可能となり、過検出を90%以上も抑えた。

» 2025年02月27日 15時00分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

「欠陥」とそうではない「製造ばらつき」を正確に判別

 日立製作所は2025年2月、日立ハイテクの協力を得て、半導体製造工程で発生する10nm以下の微小な欠陥を、高い感度で検出できる画像処理技術を開発したと発表した。機械学習を活用することで、「欠陥」とそうではない「製造ばらつき」の判別が可能となり、過検出を90%以上も抑えた。

 半導体デバイスは、微細加工技術の進展などにより高性能化が一段と進む。こうした中、半導体製造工程では品質管理や生産性の向上が、これまで以上に重要となってきた。このためにも、製造工程で発生する微細な欠陥を正確に検出し、早期に対策をとる必要がある。

 日立は今回、画像処理や機械学習、データサイエンスなどの知識を活用し、微細な欠陥を高い認識率で検出できる技術を開発した。開発した欠陥検出技術は大きく2つの特長があるという。

 1つは、機械学習を用いることで高感度な欠陥検出を可能とした。まず事前学習として、良品画像にノイズを加えた劣化画像のデータを多数生成する。そこから良品画像の再構成に有効なデータの特徴を機械学習する。そして、欠陥を含む画像から良品画像を自動で再構成し、これらを比較することで微小な欠陥を検出する。実験では、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、評価用サンプル上に発生した10nm以下の欠陥が検出できることを確認した。

 もう1つは、回路パターンのレイアウトを機械学習によって分類する技術である。欠陥サイズが小さくなると、「欠陥」とそうではない「製造ばらつき」との判別が難しく、過検出になりやすいという。そこで今回は、レイアウトに応じた検出感度調整を行うことによって、特定の回路パターン上で生じる過検出を90%以上も抑えることに成功した。

機械学習を用いた「高感度欠陥検出技術」と、「回路レイアウトに応じた検出感度調整による過検出抑制技術」の概要[クリックで拡大] 出所:日立 機械学習を用いた「高感度欠陥検出技術」と、「回路レイアウトに応じた検出感度調整による過検出抑制技術」の概要[クリックで拡大] 出所:日立

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