小型液晶反射板でミリ波5Gエリアを拡大 JDIらが開発:ビル陰にもピンポイントで届ける
ジャパンディスプレイ(JDI)とKDDI、KDDI総合研究所は、開発した可搬型のミリ波(28GHz帯)用液晶メタサーフェス反射板を実環境に設置して、電波の反射方向や範囲を変更させて、ピンポイントに電波を届ける実証実験に成功した。
ジャパンディスプレイ(JDI)とKDDI、KDDI総合研究所は2025年2月、開発した可搬型のミリ波(28GHz帯)用液晶メタサーフェス反射板を実環境に設置して、電波の反射方向や範囲を変更させて、ピンポイントに電波を届ける実証実験に成功したと発表した。
5Gで用いられるミリ波などの高い周波数は、高速かつ大容量の通信が可能になる。一方で直進性が強くビルなどの影響を受け、場所によっては電波が届きにくくなることがある。イベント会場など一時的に人が密集する場所でも、安定した通信が行えるように電波を届ける必要があるという。
今回開発した小型の液晶反射板は、こうした課題に対応するものである。外形寸法は約50×50cmで、重さは約8kg。汎用の太陽光パネルとバッテリーで駆動させることができる。しかも、スマートフォンを用いて、オン/オフ制御や散乱パターンの変更が可能である。
今回の実証実験は、東京・西新宿地区で2024年12月21日より実施してきた。実証実験では、28GHz帯のミリ波を反射させる可搬型の液晶反射板を用い、その設置位置や液晶に印加する電圧分布のシミュレーションを行った。そして、商用のミリ波電波を電波が届きにくい場所に反射させ、狙ったところに電波が届くことを確認した。
屋外に設置された液晶反射板[クリックで拡大] 出所:JDI他
液晶反射板を設置する前後の実験結果[クリックで拡大] 出所:JDI他
「予想通り」赤字拡大のJDI、半導体パッケージング事業で収益確保へ
ジャパンディスプレイ(JDI)は、2024年度第3四半期(2024年10〜12月)の業績を発表した。売上高は前年同期比33%減の405億円、営業利益は同20億円減で83億円の赤字だった。当期純利益は同227億円減で319億円の赤字だった。
JDIが主力の茂原工場の生産終了へ、eLEAPはファブレス展開を協議
ジャパンディスプレイ(以下、JDI)は、2026年3月をめどに液晶パネルの主力工場である茂原工場(千葉県茂原市)での生産を終了する。同工場は、売却を主眼とするAIデータセンターとしての活用を見込む。今後、JDIの国内生産は石川工場(石川県能美郡)に集約する方針だ。
JDI、台湾Innoluxらと次世代OLEDで戦略提携
ジャパンディスプレイ(JDI)は、台湾Innoluxおよび同子会社CarUX Technology(シンガポール)と、次世代OLED(有機EL)ディスプレイ「eLEAP」に関して戦略提携を行った。今回の提携に基づき、JDIとCarUXはまず「32型車載用eLEAPディスプレイ」について、共同で市場開拓に取り組む。
JDIの「eLAEP」中国工場建設、最終契約に至らず
ジャパンディスプレイは、中国の蕪湖経済技術開発区と戦略提携覚書(MOU)を結んでいた、次世代OLED「eLEAP」の大規模量産工場建設などのプロジェクトが最終契約締結に至らず、MOUも延長しないと発表した。
新たな無線中継技術でミリ波エリアを効率的に拡大
KDDIと京セラは、5G/6G(第5/第6世代移動通信)で提供予定のミリ波(28GHz帯)による通信サービスのエリアを、効率的に拡張できる「無線中継技術」を開発した。フィールド試験により、ミリ波の道路カバー率を従来の33%から99%まで高めることができることも確認した。
フォトニック結晶レーザーを用い、宇宙通信を実現
KDDIとKDDI総合研究所、京都大学の研究グループは、フォトニック結晶レーザー(PCSEL)を用い、低軌道衛星と静止軌道衛星間に相当する距離で通信可能なことを実証した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.