重要な論点は、欧州の通信市場についてだった。Telefonicaの会長兼CEOであるMarc Murtra氏は「欧州は過度な規制や細分化、不十分な産業収益などによって抑圧され、技術面で後れを取っている。欧州の大手通信企業が団結して成長し、技術力を生み出すことができれば、欧州の戦略的自律性が強化され、生産性を引き出し、人々の生活を向上できる」と主張する。
Murtra氏は「今から25年前は欧州の通信業界がGSM/UMTS規格で技術変革を主導していたが、現在では米国と中国が優位だ。欧州委員会(EC)や加盟国、規制当局は、技術と通信の統合を推進すべきだ。このように変化していかなければ、世界における欧州の地位は低迷し続けるだろう」と警告している。
Bharti AirtelのチェアマンであるSunil Bharti Mittal氏もMurtra氏の見解に同意し、インドでは12社あった通信事業者を3社へと統合した結果、手頃なデータ料金と優れたカバレッジを実現したという成功事例を取り上げた。Bharti氏は「規制当局は、通信業界に対する減税を行い、手頃なコストで十分な周波数帯を提供すべきだ」と要請している。
AIも中心テーマとして取り上げられた。登壇者たちは「AIは電気通信業界に革命を起こす可能がある」と強調した。Granryd氏は「McKinseyによると、生成AIは世界経済に最大23兆米ドルのプラス効果をもたらし、そのうち1000億米ドルは電気通信業界が享受するという。例としては、スパムソリューションや、ロボティクス/IoT向けにコンピューティングとネットワークの強みを組み合わせたAI工場などが挙げられる」と指摘する。
TelstraのCEO兼マネージングディレクターを務めるVicki Brady氏は「AI最大のチャンスは、われわれのビジネスの中心であるネットワークそのものにある。ネットワークを最適化してより効率的に運用し、顧客に優れた成果を提供することだ」と強調している。GSMAは、通信業界の利益を最大化するためにAIモデルがどのように機能するかを測定する、オープンな通信ベンチマークを発表した。
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