繰り返し懸念の声が上がっているのが、周波数帯の高コストと重税だ。Granryd氏は「周波数帯は、われわれにとっての酸素である。業界は過去10年間で5000億米ドルを周波数帯に投じてきた。政府は、投資やイノベーションを抑制する可能性がある、周波数帯価格の高騰を回避すべきだ」と要請する。
Bharti氏は政府や規制当局に対し、通信業界に対する税金を引き下げ、手頃なコストで十分な周波数帯を提供するよう求めた。同氏は「この業界では、デジタルインフラの建設コストが大きな負担となっていて、持続可能な成長を実現するためにはリセットする必要がある」と主張する。
登壇者たちは業界の将来について楽観的だった。Brady氏は「業界は未来を再定義し、既存の通信モデルを破壊する必要がある。ネットワークを、商業的価値を持つ製品として評価すべきだ。新たなチャンスを得るには、協業し、考え方を変えていくことが重要である」と強調した。
GSMA Open Gatewayイニシアチブは、通信事業者が統合されたAPIエコノミーで協力し、大規模なイノベーションを提供できるようにするパラダイムシフトとして注目された。Granryd氏によると、世界のモバイル接続のほぼ80%をカバーする通信事業者がOpen Gatewayに加入していて、収益は2024年6月から120%増加しているという。
Bharti氏は「通信会社がインフラを共有し、衛星産業と協力して、インターネットに接続されていない残りの4億人を接続する必要がある」と強調した。同氏は業界に対して「衛星技術と戦うのではなくむしろ受け入れて、インターネットに接続されていない人々をカバーする使命がある」としている。
こうした課題にもかかわらず、全体的な見方は楽観的だった。Open Gatewayと業界のコラボレーションは、新たな収益源を開拓し、インターネットに接続されていない人々を接続するという目標を達成するための鍵となるという考えが共有されていた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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