メディア

放電を防ぐ絶縁タブが不要に、Nordic初の一次電池用PMIC超高効率昇圧レギュレーター搭載(1/2 ページ)

Nordic Semiconductorはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2025」に出展し、同社初となる一次電池用PMIC「nPM2100」のデモを公開した。

» 2025年03月26日 09時30分 公開
[永山準EE Times Japan]

 Nordic Semiconductorはドイツ・ニュルンベルクで開催された組み込み技術の展示会「embedded world 2025」(2025年3月11〜13日)に出展し、同社初となる一次電池用PMIC「nPM2100」のデモを公開した。nPM2100は、「市場で最も効率的」(同社)な昇圧レギュレーターと複数の省エネ機能を搭載し、一次電池搭載デバイスの電池寿命を大幅に延長可能だという。

nPM2100搭載ボード nPM2100搭載ボード[クリックで拡大]

「市場で最も効率的」昇圧レギュレーター搭載

 nPM2100は同社が2025年1月に発表した新製品で、効率的な昇圧レギュレーターと複数の省エネ機能を搭載し、一次電池駆動製品のバッテリー寿命の延長を実現するものだ。具体的なアプリケーションとしては、ワイヤレスマウスやキーボード、消費者向け資産追跡デバイスやリモコン、ウェアラブル医療機器などが挙げられる。

 nPM2100は入力電圧範囲が0.7〜3.4V、出力範囲が1.8〜3.3Vの昇圧レギュレーターを搭載し、最大150mAを供給できる。さらに、0.8〜3.0Vの出力範囲で最大50mAを供給するロードスイッチ/LDOも備え「アプリケーションにノイズに敏感なコンポーネントがある場合にも対応可能だ」(説明担当者)としている。レギュレーターの静止電流(IQ)は150nAで、50mAで最大95%、10μAで90.5%の電力変換効率を実現。「市場で最も効率的な昇圧レギュレーターの1つだ」(同社)という。

nPM2100のブロック図 nPM2100のブロック図[クリックで拡大]出所:Nordic Semiconductor

 説明担当者は「nPM2100は、入力電圧範囲内で動作するあらゆるタイプの一次電池をサポートできる」と強調。具体的には、単3/単4電池を1本または2本(直列)、3Vの二酸化マンガンリチウム電池1本、単セルまたは2セルの酸化銀や空気亜鉛コイン電池などに対応する。

絶縁プルタブ不要、消費電流35nAの出荷モード

 従来、一次電池を搭載したデバイスは輸送/保管時にプラスチック製の絶縁プルタブなどを用いて電池を保護している。nPM2100では、35nAという超低消費電流の出荷モードを備えているため、こうした絶縁プルタブ不要で電池を挿入したまま製品を輸送/保管が可能になるという。説明担当者は「35nAは、電池の自己放電よりもはるかに低く、基本的に無視できるほど小さい値だ」と強調していた。複数のウェイクアップオプションもサポートしていて、ボタンによる起動はもちろん、特許出願中という新機能「break-to-wake」も採用。同機能によって、電気接続が切断されると、ボタンのない製品でも出荷モードから復帰可能になるという。

 さらに、出荷モードと同時に動作できる超低消費電力のウェイクアップタイマーも搭載。同タイマーによって、一定時間ごとに復帰が可能で、SoCやMCUの電源オフよりも深いスリープを設定できるという。nPM2100の休止モードでの総電流消費は200nA未満で「このような低消費電力は、断続的にBluetooth Low Energy(LE)アドバタイズを行うアプリケーションの電池寿命を最大3倍延長できる」としている。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.