ソシオネクストは、同社が展開するソリューションSoCの需要が今後も拡大していくとみている。その背景を示したのが下図で、オートモーティブやデータセンター/ネットワークおよびxPUなど同社がプライマリーエリアとする分野のSAM(獲得可能な最大市場規模)は2024年〜2028年まで年平均成長率(CAGR)12.4%で拡大すると予想。肥塚氏は「技術革新やさまざまな設計の複雑化、あるいは3Dチップレットといったような設計の複雑性が増していく中で、カスタム分野の需要が拡大していくと実感をしている。今後も需要が伸びていくと期待している」と述べていた。
こうした需要拡大に向け、ソシオネクストは先行開発投資を積極的に進めていく。肥塚氏は「特に設計の複雑性が増す中でEntire Design(全体設計)能力があるパートナーが求められており、その設計力を増すために注力をしたい」と説明。2nm以降の先端ノードおよび、チップレット(3D/5.5D)技術の開発などを継続するとともに、EDA企業と協力したSoC設計へのAI導入、エコシステムパートナーとの関係の強化を進めていくとした。
同社はArmおよびTSMCと連携し2nm世代プロセスのマルチコアCPUチップレット開発および設計ツールの実用化、プラットフォーム化などを推進している。また、TSMCの車載向け3nmプロセス「N3A」を採用したADAS(先進運転支援システム)および自動運転向けカスタムSoC開発、Armのアーキテクチャを採用しTSMCの3nmプロセスを使用した高性能コンピューティング(HPC)プロセッサSoCの開発、Googleとの量子コンピューティング向けSoCの開発なども順調に進んでいるという。この他、インド電子情報技術省の主要な研究開発機関であるCentre for Development of Advanced Computing(C-DAC)およびMosChip Technologiesとの提携も発表している。
この全体設計能力強化に向け、グローバル組織体制を抜本的に改革。2025年4月から研究開発(R&D)チームを、「グローバルリーディンググループ(GLG)」として大規模に拡大し、最高執行責任者(COO)の吉田久人氏と最高技術責任者(CTO)のRajinder Cheema氏を共同リードとした体制を構築。ソリューションSoCのビジネスモデルに沿った複数領域での複数同時(並行)開発を可能とする体制の構築/強化を進めていく方針で、「人員を質的にも量的にも強化していく」とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.