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チップレットを自動車へ 課題は「1万個の接続点」の耐久性imecが取り組みを加速(1/3 ページ)

自動車では、要求されるコンピューティング能力がますます高まっている。imecはこうしたトレンドを受け、チップレットを自動車に導入するための研究開発を加速させている。ただし、産業向けでは価値を発揮し始めているチップレットも、自動車向けでは大きな課題を抱えている。

» 2025年06月06日 11時45分 公開
[Pat BransEE Times]

 現代の自動車は急速に“車輪のついたデータセンター”になりつつあり、モビリティだけでなく、自律性や安全性、継続的なソフトウェアアップデートを提供することを期待されている。こうした期待は高性能コンピューティングに対する飽くなき要求を伴うが、その動作環境はデータセンターやスマートフォンとは根本的に異なる。システムは、熱や振動、24時間365日の稼働が当たり前の過酷な条件下で、10〜15年の車両寿命にわたって確実に動作する必要がある。

imecの車載担当バイスプレジデントを務めるBart Plackle氏 imecの車載担当バイスプレジデントを務めるBart Plackle氏 出所:imec

 そこで出番となるのがimecだ。ベルギーの研究機関であるimecは、数十年にわたる半導体のイノベーションを、自動車業界の最も差し迫った課題の1つである「パワフルで効率に優れ、長期にわたって堅ろうな車載コンピューティングプラットフォームの設計」に応用している。

 imecの車載担当バイスプレジデントを務めるBart Plackle氏は、ベルギーのアントワープで開催された「ITF World 2025」(2025年5月20〜21日)でEE Times Europeに対し「自動車は、あなたが所有する最もハイエンドなコンピューティングデバイスになるだろう。しかし、車は温度管理されたサーバルーム内ではなく、路上にある。より高いレベルの自律性によって現在の所有モデルからの移行が可能になれば、システムは事実上ノンストップで稼働することになる」と語った。

 Plackle氏は「欧州は豊かな自動車の伝統と新しい半導体戦略によって、モビリティとマイクロエレクトロニクスの融合をリードするユニークな立場にある」と話す。欧州チップ法のような地域開発を支援するイニシアチブの後押しを受け、imecはこの変革の中心に位置している。同氏は「欧州は自動車に強く、自動車メーカー、ティア1、そして長い歴史がある。imecは、高度なパッケージングやチップレットアーキテクチャ、システムインテグレーションなどのディープテックを提供する。われわれは最先端の研究を行い、車載グレードの産業実行に向けて準備している」と続けた。

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