「Tenstorrentは引き続き、中国市場に対応していく。旧世代のハードウェア『Wormhole』は、現在の米国の輸出規制下でも中国への出荷が可能だが、Blackholeは機能を削る必要があるため、その準備をシリコンのあらゆる部分に組み込んでいる。またAscalon CPU IPも、中国の顧客向けに機能を削減しなければならない」(Keller氏)
Keller氏は「AI技術の輸出規制は、米国にとって何の役にも立たない。半導体製造装置に対する輸出規制は、中国が同技術の国内開発を強化するということを意味する」と指摘する。
「私の知る限り、中国に対する過去5年間の半導体装置規制によって、中国は約5年分の進化を加速させたといえるだろう。勝利は、規制ではなくイノベーションによって獲得するものだ。それはずいぶん前から自明のことである」(Keller氏)
Tenstorrentは現在、欧州拠点をセルビアとドイツ、ポーランドに置いている。また、キプロス政府からの働きかけを受け、キプロスにもオフィスを開設する予定だ。そのオフィスでは、Tenstorrentのコンピュータを使用し、キプロスの大学との共同プロジェクトに取り組んでいくという。
Keller氏は「さまざまな国が、米国のハイパースケーラーに依存するのではなく、自国のAI技術の主導権を握りたいと考えている」と述べる。「こうした国々は、当社のソフトウェアがオープンソースであるため、自分たちで何かすることができるという点を気に入っているのだ」(同氏)
「将来的にオフィスを設置する可能性がある国の1つに、スペインがある。同国は、RISC-V関連の人材供給が豊富な上、政府からの支援もあるからだ」(Keller氏)
また日本では、TenstorrentはRapidusと協業し、取り組みを進めている。Rapidusの2nmパイロットラインは立ち上げのさなかであり、予定より早くPDK(Process Design Kit)をリリースしたところだという。
Keller氏は「当社のCPUの一部を合成し、フィードバックを送っている。数値はほぼ期待通りだった」と述べる。
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