AIワークロード向けのプロセッサ「Blackhole」の出荷を開始したTenstorrent。同社のCEOを務めるJim Keller氏は「この4年間で最も素晴らしい日になった」と語る。
Tenstorrentのプロセッサ「Blackhole」の発表を終えたばかりの同社CEO、Jim Keller氏は喜びを感じている。
同氏は米国EE Timesの独占インタビューで「私はリーダーシップチームに、『Tenstorrentでの4年間の中で、最も素晴らしい日になった』と伝えた。われわれのCPUチームは全力を尽くし、RISC-V CPU IP(Intellectual Property)コア『Ascalon』向けのβ版を提供した。そして当社初となるトレーニングコンピュータが順調に稼働し、Blackholeコンピュータの出荷も開始している。自社技術をベースとするコンパイラを構築しているチームと話をしたところ、彼らは『自分たちの取り組みをとても素晴らしいと思っている』と語ってくれた」と述べている。
米国カリフォルニア州サンタクララにあるKeller氏のオフィスのドアは、外側がホワイトボードになっており、そこには「We’re going to win!(われわれが勝利する!)」と大きく書かれている。その横には、Blackhole世代のハードウェアで“有用な”レベルの性能/信頼性を実現する稼働中のモデルの記録が並び、現在のところ同社のTT-NNコンパイラスタック向けとして、5種類が記されている 。同氏は、「この他にも15種類のモデルを近々発表する予定だ」と述べている。
TenstorrentのMLIR(Multi-Level Intermediate Representation)ベースのコンパイラ「TT-Forge」を構築しているチームは、やや後れを取っているが、Keller氏は「現在数百人規模のエンジニアたちが取り組みを進めている」と述べる。
「MLIRは実に大きな勝利だといえる。良い選択であり、本当に素晴らしい」(Keller氏)
Keller氏がこの上なくうれしく思っているのが、オープンソースプロジェクトであるMLIRへの貢献だ。Tenstorrentのソフトウェアスタックは、全体がオープンソースである。同氏は「この決断は社内外でも評判が良く、オープンソースの精神はエンジニアにとって魅力的であることから、人材の採用にも役立っている」と述べる。
「われわれがさまざまな方法でけん引力を得られているのは、人々が当社の技術をベースとしてソフトウェアを構築することができ、それが機能したりわれわれが調整できるために、応援してくれるからだ。本物のオープンソースソフトウェアスタックが存在するという事実を喜んでくれているのだ」(Keller氏)
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