村田製作所は「JPCA Show 2025」に出展し、疲労/ストレス計「MF100」を紹介した。企業の健康経営や業務改善のほか、自動車開発の際は運転手の疲労の検証などにも利用できる。
村田製作所は「JPCA Show 2025」(2025年6月4〜6日、東京ビッグサイト)に出展し、疲労/ストレス計「MF100」を紹介した。
疲労やストレスの度合いは、呼吸や血液の循環を調整する自律神経の状態から読み取れる。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、緊張していてストレスが高い状態だと交感神経が、休息/リラックス状態だと副交感神経が優位になる。心拍間隔データを周波数解析するとどちらが優位になっているか、すなわちストレスの度合いを知ることができる。また、心拍間隔は規則的ではなくゆらぎがあるが、疲労が蓄積するとゆらぎが小さくなることが分かっていて、その大きさを解析することで疲労の度合いも数値化できる。
MF100は、2つの方法で心拍データを取得するデバイスだ。1つは両手の親指を電極に接触させて左右の電位差を取得する心電図法、もう1つは右手の親指の血流を光センサーで取得する光電脈波法で、ここに電子部品事業の知見を活用しているという。
取得した心拍データはタブレット端末などを通してクラウドサーバに送信し、独自のアルゴリズムで解析する。すると、交感神経/副交感神経のどちらが優位か(ストレスの度合い)、自律神経全体の働き具合はどうか(疲労の度合い)といった結果が得られる。
「ウェアラブルデバイスでも心拍測定機能を搭載したものがあるが、ほとんどの場合はバッテリーを長持ちさせるためにサンプリングレートを小さくしていて、自律神経の状態を読み取れるほどの精度ではない。対して、MF100は細かくデータを取得するので詳細な解析が可能だ」(村田製作所ブース説明員)
結果は下図のようなマトリクスで表示される。横軸はストレスの度合いで、右に行くほど交感神経優位(ストレス大)、左に行くほど副交感神経優位(ストレス小)だ。縦軸は疲労の度合いで、上に行くほど自律神経のゆらぎが大きく(疲れていない)、下に行くほど自律神経のゆらぎが小さい(疲れている)ということだ。なお、自律神経のゆらぎは年齢によって変化するので、同年齢の中での偏差値として示し、「自律神経機能年齢」も表示する。
理想的な状態はマトリクスの左上で、疲労が少なく副交感神経優位の状態だ。疲れがなくリラックスしているので、長時間良いパフォーマンスを発揮できる。その次に良いのは右上で、疲労が少なく交感神経優位の状態。気を張っているので「疲労予備軍」といえる。あまり良くないのは右下で、疲労があり交感神経優位の状態だ。最も良くないのは左下の、疲労があり副交感神経優位の状態。副交感神経優位というとリラックスできている印象を受けるが「疲れていて緊張もしていない、燃え尽きた状態」(ブース説明員)だという。就寝前であれば問題ないが、仕事中にここに該当する場合は疲労やストレスが蓄積しているといえる。
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