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自律神経から「頑張りすぎ」を可視化、村田製作所心拍データを解析(2/2 ページ)

» 2025年06月12日 13時30分 公開
[浅井涼EE Times Japan]
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実際に測定してもらった

 ブースでは実際にMF100を用いた疲労/ストレスの計測を行っていて、筆者も体験した。デバイスの電極に両手の親指を添え、目を瞑って心拍データの測定を始めると、2分ほどで結果が得られる。

測定時のMF100の使い方 測定時のMF100の使い方[クリックで拡大]

 結果は下図の通り。自律神経機能の偏差値(疲労の少なさ)は62、実年齢25歳に対して自律神経機能年齢は20歳、自律神経のバランスは交感神経優位だった。疲労は少ないが緊張している状態だといい、「午前中なので疲労は蓄積していないが、仕事中ということで気を張っているのではないか」との説明があった。村田製作所は複数の展示会やイベントでMF100の体験会を行っていて、ブース説明員によると「平日の展示会は仕事として来ている人が多いので緊張感があり、交感神経優位になる場合が多い。逆に土日のイベントは休日の人が多いので、リラックスしていて副交感神経優位になる場合が多い」という。

測定結果の一部 測定結果の一部[クリックで拡大]

製造業の業務改善や自動車開発に

 MF100の利用例としては、主に「健康経営」「疲労による事故防止」「ストレス/疲労を緩和する製品の効果の可視化」の3パターンがあるという。

 健康経営に取り入れる場合は、法令で定められたアンケート式のストレスチェックなどと組み合わせることが考えられる。「アンケートは従業員が自分自身の認識で答えるものなので、疲れているのに『自分は元気だ』と思い込んでいるケースを見逃してしまう。または『疲れている自覚があるが、正直に回答すると休みを取るように言われて仕事が終わらない』と考え、実情を答えない人もいる。MF100を使えばアンケートよりも正確な結果が得られる」(ブース説明員)

 村田製作所の生産現場でもMF100を取り入れているという。「疲労が強い従業員の担当業務を確認すると、しゃがんだり立ったりする作業が多かった。負担を減らすために作業台を導入すると、疲労が小さくなった。このように、製造業の業務改善にも役立てられる」(ブース説明員)

 疲労による事故防止への活用例は、長距離トラックドライバーやヘリコプターパイロットの体調管理だ。運転業務の前にアルコールチェックなどと合わせて疲労/ストレスも測定し、疲労が蓄積している場合はシフトを変更するといった運用が考えられる。実際にMF100を取り入れた物流企業では、ドライバーの漫然運転に起因する事故は0件になり、事故には至らないが危険な事態であった「ヒヤリハット」も94%減少したという。

 ストレス/疲労を緩和する製品やサービスの効果を可視化するのにも利用できる。例えば自動車の開発では「ある技術を導入した際に運転時の疲れを減らせるか」といった検証が可能になる。さらに、サプリメントの服用前後やマッサージの施術前後に用いれば効果を確認できる。

 村田製作所は今後、企業との提携などによってMF100の普及を目指す計画だ。

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