日立製作所と日立ハイテクは、製造ラインの立ち上げと歩留まり向上を支援する「プロセスインフォマティクス技術」を開発した。リチウムイオン電池の試作ラインに開発した技術を導入して検証したところ、中間工程品の段階において製品性能を高い精度で予測することに成功した。
日立製作所と日立ハイテクは2025年6月、製造ラインの立ち上げと歩留まり向上を支援する「プロセスインフォマティクス技術」を開発したと発表した。リチウムイオン電池の試作ラインに開発した技術を導入して検証したところ、中間工程品の段階において製品性能を高い精度で予測することに成功した。
製造業では、市場ニーズの急激な変化などに対応するため、製造ラインを速やかに立ち上げ、製造プロセスのさらなる効率化が求められているという。そこで、日立と日立ハイテクは、独自のデータベースや生成AIを活用し、高効率の製造プロセスを実現できる「製造プロセス改善ソリューション」を提案している。ただ、これらを実現するには大量の学習データが必要となり、開発期間やコストの点で課題もあった。
そこで今回、製造途中の中間工程品に着目し、構造特徴量抽出技術とインフォマティクス技術を融合した。これにより、限られた学習データでも製品性能を高い精度で予測できる「プロセスインフォマティックス技術」を開発した。
今回開発した技術の1つが「中間工程品の構造特徴量を用いた性能予測モデル」である。今回の研究では、リチウムイオン電池製造工程の中間工程品である「電極シート」の構造特徴量を抽出し、機械学習モデルに適用した。この結果、限られたデータでも高い精度で電池性能が予測できることを確認した。また、構造特徴量と目的変数である電池性能の相関性を明確にした。
もう1つは「SEM画像解析による構造特徴量抽出技術」である。日立ハイテクが開発したSEMを用い、電極シート表面の画像データを取得し解析した。これにより、電極中の凝集および空隙構造や構成要素の分布を反映した構造特徴量を抽出する技術を開発した。この技術を用いれば、電池製造の中間工程品である電極シートを製造する段階で、電池性能の良否判定が可能になるという。
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