後工程向けの新規材料として、感光性層間絶縁膜フィルム(ポリイミドフィルム)と放熱シート(TIM:Thermal Interface Module)を開発した。
高い演算能力が必要とされるAI向け半導体では、高集積化や大型化が進む。それに伴い、チップレット集積や2.5D/3D実装などパッケージ構造も大きく変化しようとしている。特にインターポーザーは、シリコンインターポーザーから有機インターポーザーへの移行や、多層化、パネルサイズ(510×515mmなど)への大型化に向けた開発が活発になっている。こうした背景を受け、富士フイルムは有機インターポーザーの平坦化を実現する感光性層間絶縁膜フィルムを開発した。
現在、層間絶縁材料として使われている液状ポリイミドは、銅配線の形状によってどうしても、へこみ(アンジュレーション)ができてしまう。インターポーザーの層数が増えるとアンジュレーションによって微細な配線パターンを形成するのが難しくなる。富士フイルムが開発した層間絶縁膜フィルムは、ラミネートすることで、フィルム表面の平坦性を維持したまま多層化できるという。
野口氏は「510×515mmのサイズでは液状ポリイミドを使えるが、それ以上に大型化すると、多層化することが難しくなる。ポリイミドフィルムを導入する際は、新しい装置(ラミネーター)が必要になるが、基板メーカーにとってはなじみのある装置であり、インフラとして保有しているケースも多いので、そこまでの追加投資は必要ないと考えている」と説明した。
TIM材は、銅ナノワイヤと樹脂を混合したハイブリッドシートで、マテリアルズインフォマティクス(MI)を活用して開発した。
岩崎氏は「今後は後工程に、前工程の技術が適用されていく。前工程の材料で強みを持つ当社は、後工程に参入できる大きな競争優位性を持つ」と語った。なお、後工程新規材料の収益化の時期については明らかにせず、「まずはポリイミドフィルムが大きく成長し、その次がTIM材だとみている」と述べるにとどめた。
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