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富士フイルム、ナノインプリントレジストを発売ナノインプリントリソ技術に適合

富士フイルムは、半導体製造技術「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料「ナノインプリントレジスト」を開発、2024年5月下旬より富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズを通じて販売する。

» 2024年05月02日 09時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

スピンコート法に比べ、レジスト使用量は約100分の1に

 富士フイルムは2024年4月、半導体製造技術「ナノインプリントリソグラフィ」に適合する半導体材料「ナノインプリントレジスト」を開発、2024年5月下旬より富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズを通じて販売すると発表した。

 ナノインプリントリソグラフィは、回路パターンが形成されたマスクをレジストが塗布されたウエハー上に押し当て、回路パターンを転写、形成する技術である。従来の露光工程で用いられてきたフォトリソグラフィとは異なり、露光に用いる複雑で高額となる光学系が不要で、現像工程など製造プロセス自体も簡素化できる。このため、従来に比べ装置の導入コストや消費する電力を削減できるという。

 同社は今回、製造工程におけるレジストの流動挙動や、レジストとウエハー表面やマスクとの相互作用などを詳細に解析。この結果に基づき、ナノインプリントリソグラフィに最適な分子構造のレジストを新たに設計した。

 開発したナノインプリントレジストは、回路パターンが形成されたマスクに均一かつ素早く充填できる。このため、ナノメートルレベルの回路パターンを正確かつ短時間で転写し、形成することが可能となった。また、UV照射で硬化させた後にマスクを高速で剥がしても、転写された回路パターンにダメージを与えない離型性を備えている。これによって、高いスループットと歩留まりを可能にした。

 さらに、産業用インクジェットプリンターの開発で培った技術を活用し、ウエハー表面に適切な液滴量を塗布する方式を採用した。この結果、従来のスピンコート法に比べ、レジストの使用量を約100分の1に削減できるという。しかも、有機フッ素化合物群「PFAS」は含まれておらず、環境問題にも配慮した。

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