Infineonは、RISC-Vエコシステムの構築にも力を入れている。Infineon AG Software, Partnership & Eco-system Management担当シニアディレクターのThomas Schneid氏は「2024年は基礎固めの段階で、ツールを提供する各企業がまとまった。2025年に入り、イネーブルメントの段階に入った。この段階ではあらゆる重要なソフトウェアの提供が開始される。世界の各地域に赴いて地域固有のニーズや必要なサポートを洗い出す、『グローカリゼーション』(グローバリゼーションとローカリゼーションを組み合わせた造語)の取り組みも進めている」と述べた。
セミナーには、RISC-Vプロセッサ開発企業のQuintaurisからもManaging DirectorのPedro Lopez Estepa氏が登壇した。Quintaurisは欧米の大手半導体メーカーが共同出資して設立した企業で、Infineonも株主になっている。同氏はRISC-Vについて「エコシステムは急速に成長しているが、今後も市場にソリューションを提供し続けられるのかという疑問も出てきている。IP(Intellectual Property)ベンダーがそれぞれ独自のマイクロアーキテクチャを提供していて互換性が欠如していることや、体系的なベンチマークがなく比較ができないことが理由だ」と指摘し、「こうした背景でQuintaurisが設立された。Quintaurisの使命はRISC-Vのイノベーションと実用的なソリューションをつなげる橋渡しをすることだ」と説明。そのために、IPの有用性を保証すること、生産に向けた認証を行うこと、異なるIP間の相互運用性を確保することをビジョンとして掲げているという。
Schneid氏によると日本のティア1メーカーは、Infineonの車載RISC-Vマイコンに対し、世界の顧客の中でも特に強い関心を寄せているという。「RISC-Vはわれわれだけで開発するのではなく、顧客からのフィードバックを受けて育てていくことになる。顧客が新たな世界に移行するのをエコシステム全体でサポートするので、どうぞ参加してほしい」と強調した。
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