続いて、常務執行役員でセラミックコンデンサ事業本部の本部長を務める大森長門氏が、村田製作所のコンデンサー事業の強みを紹介。「小型や大容量、高信頼性、弱点対策、高品質かつ低損失、特殊実装対応といった幅広いラインアップを備え、広い領域をカバーできる。そして垂直統合型ビジネスであることが強みだ」という。
積層セラミックコンデンサー(MLCC)は誘電体や外部電極、内部電極から構成され、各要素のマッチングが性能を左右する。村田製作所は材料からプロセス、設備まで一貫して手掛けることで、コア技術をブラックボックス化しつつ、競争力のある製品製造ができるとする。
大森氏は「現在、村田製作所のセラミックコンデンサー市場はアジア圏にも広がりつつある。スムーズな供給や地政学的リスクの回避のため、中国やタイ、シンガポールなどにも生産拠点を設け、『Made by Murata』のコンセプトのもと、どこの拠点でも同じ特性のものを供給できることも強みだ」と続ける。
「現在の年間生産数は2兆個に迫る。品種も数万種におよび、生産プロセス含めて従来通りのオペレーションで管理するのは難しいため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めてきた。これまではデータの集中制御による需要予測や調達リスクの低減などを行ってきたが、今後は各工場の設計など、サプライチェーン以外の部分でもデジタルを活用し、スピーディーで効率的な価値提供を行いたい」(大森氏)
代表取締役副社長の南出雅範氏は、設備投資や研究開発の進捗などを説明した。設備投資は、サーバやモビリティ向けといった、工程負荷の高いコンデンサーを中心に年間10%の能力負荷ベースでの投資を継続。2025年10月にフィリピン生産棟を竣工したほか、2026年3月には、島根県に出雲生産棟を竣工予定だという。
研究開発では、2026年1月に、積層セラミックコンデンサ研究開発センターを福井県に、2026年12月に、守山イノベーションセンターを滋賀県に竣工する予定だ。「こういった投資も含め、より中長期の将来を見据えた経営の強化を図りたい」(南出氏)
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