村田製作所は、2025年度第1四半期(4〜6月)の業績を発表した。売上高は前年同期比1.3%減の4162億円、営業利益は同7.2%減の616億円だった。AIサーバ関連の部品需要は堅調だったが、スマートフォン向けの高周波モジュールや樹脂多層基板の需要が低下した。
村田製作所は2025年7月30日、2025年度第1四半期(4〜6月)の業績を発表した。売上高は前年同期比1.3%減の4162億円、営業利益は同7.2%減の616億円だった。なお、為替の影響を除くと前年同期比4.7%の増収、同12.0%の増収だった。
AIサーバ関連の部品需要は堅調だったが、スマートフォン向けの高周波モジュールや樹脂多層基板の需要が低下したという。2025年度上期の業績予想に対する進捗率は売上高は約50%、営業利益は約53%と好調。スマホやPCを中心に、各国の関税政策を踏まえて部品需要が旺盛だったことが主因だ。
下期には上期の部品需要増の反動があると見込み、通期での業績予想は2025年4月の発表値を据え置いた。事業環境認識としては、AIデータセンター向けの部品需要が堅調なまま維持されると予想。モビリティ向け部品需要の増加トレンドも変わらないとした。
決算説明会に登壇した村田製作所 社長の中島規巨氏は同社の重点領域として「高周波デバイス/モジュールのシェア向上」「電池事業の収益改善」「AIデータセンターにおける事業機会拡大」を挙げた。
高周波デバイスについては「現在のところ非常に順調」(中島氏)とし、第3四半期(10〜12月)の業績発表に合わせて一定の結果を発表できる見込みだとした。
電池事業の収益改善については、2025年度のマイルストーンとして通期での黒字化達成を目標としている。第1四半期は20億円の黒字を実現し、こちらも「順調に進んでいる」(中島氏)とした。
電池事業では2025年6月、マイクロ一次電池事業をマクセルに譲渡すると発表している。中島氏は「2026年3月の譲渡に向けて取り組んでいる。ポートフォリオ適正化の観点と、同事業のベストオーナーはマクセルだと判断したことが理由だ」と説明した。
今後は、パワーツール市場やデータセンターのバッテリーバックアップユニット(BBU)、電力貯蔵システム(ESS)市場に事業を拡大していく計画だ。
市場拡大が期待されるAIデータセンター向けには、コンデンサーやインダクターなどでも事業機会拡大に取り組む。消費電力の増大や発熱への対応が課題となっていることから、高温/高電圧に対応した積層セラミックコンデンサー(MLCC)や、低損失で大電流対応のインダクター/EMIフィルター、高品質で高信頼性のリチウムイオン二次電池、高効率の電源モジュールなどの開発を進めている。
電源モジュールについては「2025年8月末ごろまでに信頼性テストの結果が出そろう。第2四半期末には明確な方向づけができるだろう」(中島氏)とした。
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