IDCの調査によると、日本企業が2026年のAI投資において最優先事項としているのは「AI導入を支援するインフラ整備」だという。これを最優先事項とした企業は世界では全体の12.9%だったのに対し、日本では全体の18.0%だった。世界ではAIモデルの評価やデータ品質確保を優先する企業が多いが、日本はその手前のインフラ整備の段階にあるといえる。
「日本はテクノロジーにおいて米国からは3〜5年遅れということが多かったが、エージェンティックAIについては1年遅れほどで日本にやってくると見ている」(宝出氏)
エージェンティックAIの活用を前提としたITインフラを構築する上で、求められることは従来とは大きく異なる。IDCによると、2027年までに、80%の組織がレガシーなクラウド環境からAIワークロード向けの新しいプラットフォームに移行するという。宝出氏は「運用は専門家主導からポリシー駆動型に変化する。システムやアーキテクチャも汎用的なものから目的に最適化されたものが求められるようになる。電力や冷却のサステナビリティに対する要求はさらに高度になる」と述べた。
信頼あるAIインフラの実現に向けて重要になるのは、まず「ヘテロジニアス(異種混在)コンピューティングの採用」だ。コストや電力効率を考慮し、遊休時間ができないようCPU/GPU/APU(Accelerated Processing Unit)を併用するなど、ワークロードに応じて最適なコンピューティング技術を採用する必要がある。
PCなど、プライベートデジタルインフラへの再投資も重要だ。AIを活用したビジネスの差別化には、どのようなデータを活用するかが決め手となるので、安全に機密データを扱える推論基盤を配備する必要がある。
運用は、専門家主導ではなくエージェンティックAI主導に変化する。宝出氏は「複数のAIエージェントが絡み合うので、人間がそれを世話していくのは難しい」と説明する。そのため、AIによる自律的な業務遂行と人間による監督というすみ分けがなされることになる。
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