STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は、車載用マイコンの新製品「Stellar P3E」を発表した。ST独自のNPUを搭載したもので、異常検知や仮想センサーなどの常時オンかつ低消費電力のAI機能を利用できる。機能の統合(X-in-1化)が進むECUにおいて、機能統合に伴って生じる可視化や診断の課題に対応する。
STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)は2026年2月10日、車載用マイコンの新製品「Stellar P3E」を発表した。ST独自のNPUを搭載したもので、異常検知や仮想センサーなどの常時オンかつ低消費電力のAI機能を利用できる。機能の統合(X-in-1化)が進むECUにおいて、機能統合に伴って生じる可視化や診断の課題に対応する。
Stellar P3Eは既に主要顧客向けにサンプル出荷を開始していて、2026年第4四半期から量産予定。STのエッジAI開発エコシステム「ST Edge AI Suite」にも対応している。
STMicroelectronicsで車載マイコンなどを担当するLuca Rodeschini氏は、現在の自動車業界について「電動化や自動運転、コネクテッドカーの進展で、システムは大幅に複雑化している」と指摘する。
こうした中で、小型/効率化やコスト削減を実現する方法として、これまで個別のマイコンで制御していたインバーター制御やオンボードチャージャー(OBC)などの機能を1つのマイコンに統合するX-in-1化が注目されている。
X-in-1のECUでは、複数機能の統合によって内部状態の把握が難しくなる箇所もある。また、1カ所の異常が複数機能に波及するので、予兆検知の重要性が高まる。そのため、温度などを推定する仮想センサーや、電流特性から異常を検知するといったAI機能のニーズが高まっている。
今回発表したStellar P3Eはこうしたニーズを踏まえたもので、最大の特徴はST独自のNPU「ST Neural-Art」を搭載していることだ。「AI処理専用設計のアクセラレーターを搭載した車載用マイコンは業界で初めて」(ST)だという。STによると、同NPUを用いた場合、CPUのみの場合と比べたAI処理能力は、一般的なアプリケーションでは約30倍に向上。窓ガラス開閉時の挟み込み防止アルゴリズムを例にとると、STのデモでは障害物検知の性能は69倍、全閉確認の性能は16倍に向上したという。これによって、Stellar P3Eは異常の予兆検知や仮想センサーといった常時オンかつ低消費電力のAI機能に利用できる。
なお、STのマイコンで他にNPUを搭載したものとしては、2024年12月に発表された汎用マイコン「STM32N6」がある。Stellar P3EとSTM32N6のNPUは、エンジンは同一だがコンフィギュレーションが異なるという。
CPUはArm「Cortex-R52+」を採用。最大動作周波数は500MHzで、CoreMarkスコアは8000と高水準だ。
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