生成AIの普及により深刻化する、データセンターの電力消費問題。ハイパースケーラー各社はどう取り組むのか。
Googleの親会社であるAlphabetが、再生可能エネルギー開発を手掛けるIntersect Power(以下、Intersect)を47億5000万米ドルで買収する最終契約を締結した。この取引は、AI時代における米シリコンバレーの電力供給方法が、構造的に変化しつつあることを示している。
今回の買収にはIntersectの負債引き受けも含まれ、Alphabetは自社発電を行う最初の大手テック企業となる。Googleは発電設備を所有することで、自社のデータセンター向けのエネルギーを直接確保できるようになる。
業界ではこれまで10年間にわたり、企業がサードパーティーの開発企業とエネルギー契約を結ぶという、PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)が標準とされてきたが、今回の買収はそこから離脱することを示す。その代わりにGoogleは、最終段階の太陽光/風力発電プロジェクトの3.6ギガワット(GW)のパイプラインと合わせて、3.1ギガワット時(GWh)のバッテリー貯蔵の所有権を獲得することになる。
Intersectの創設者でありCEOを務めるSheldon Kimber氏は「Intersectはこれまで常に、業界にイノベーションをもたらすことに注力してきた。今後もGoogleの一員として、それを大規模に加速させていくことを楽しみにしている。現代のインフラは、AI市場における米国の競争力の要である。われわれは『エネルギー革新とコミュニティー投資が必ず次の柱になる』と確信しているGoogleの考えを共有しているのだ」と述べている。
Googleが新しい戦略を展開する背景には、米国の電力部門が過去数十年間で最大規模となる供給問題に直面しているということがある。その原因としては、電気自動車(EV)の増加や、国内製造業の拡大、AIコンピューティングの急成長などが挙げられる。
今回の買収に至った主な理由は、生成AIの膨大な電力使用量にある。例えば、ChatGPTの1回のクエリには約2.9ワット時(Wh)が必要であり、これは通常のGoogle検索の約10倍を超える。Alphabetはこのような技術をサポートすべく、2026年の設備投資額を1850億米ドルに倍増させる計画を立てており、十分な電力を確保することが主要な課題となっていた。
Googleのデータセンターエネルギー部門担当グローバルヘッドであるAmanda Peterson Corio氏は「エネルギーシステムは世界的に見て、AI需要に対応するという目的にはもはや適していないのではないだろうか。われわれは将来を見越して、真剣に検討しようとしているのだ」と述べる。
GoogleはIntersect買収により、開始準備が整ったプロジェクトを持つ開発企業を管理できる他、さらに重要なのが、既に接続キューに確保されているスポットなども入手できるようになるという点だ。米国では多くの市場において、新しい電力プロジェクトでグリッド接続が可能になるまでに5〜7年間を要する。Googleはこのようなプロジェクトを保有することにより、市場の全般的な能力が追加されるのを待つのではなく、米国テキサス州のような地域にある自社データセンターへの対応に集中できるようになる。
Aurora Energy Researchの北米担当マネージングディレクターを務めるOliver Kerr氏は、今回の動きの戦略的理論について「Googleが、NVIDIAへの依存を減らすために半導体設計関連の一部の要素を内製化したのと同様に、発電の一部も内製化するのは当然のことだろう」と指摘する。
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