Googleはエネルギーインフラソリューションの開発企業を買収したが、一方で競合企業は、同じエネルギー問題に対して別のアプローチを採用している。例えばMicrosoftは、財務戦略と、原子力発電の復活に注力している。2024年9月には、Constellation Energyとの間で20年契約を締結し、スリーマイルアイランド原子力発電所第1号機を再稼働させることに合意した。これにより、2028年までにグリッドに835メガワット(MW)のカーボンフリー電力を追加できる見込みだという。
またMicrosoftは同時に、BlackRockとの間で、300億米ドル規模の世界的なAIインフラ投資パートナー提携を開始し、エネルギープロジェクトに資金提供していくという。
一方Amazonは、不良資産を買い取るという異なるアプローチを取る。同社は2026年1月に、2025年11月に倒産したPine Gate Renewablesから、1.2GWの再生可能エネルギーを供給する「Sunstone(サンストーン)」プロジェクトを8300万米ドルで入手した。AmazonもGoogleと同様に、エネルギー資産を直接管理したい考えだが、開発企業全体を買収するのではなく、個々のプロジェクトを取得することに注力している。
業界では安定した電力を提供すべく、再生可能エネルギーに加え、原子力発電にも多額の投資が行われている。風力/太陽光では、大規模なバッテリー貯蔵なしには対応できないからだ。技術メーカーは、既存の原子力発電所よりも迅速に建築可能な、小型モジュール炉(SMR:Small Modular Reactor)に賭けて出た。
Googleは、Intersect買収に先立ち、Kairos Powerとの間で、2035年までに溶融塩冷却設計を採用した500MW規模の小型モジュール炉発電所を建設する契約に合意している。またAmazonは、X-energyに5億米ドルを投じ、高温ガス冷却炉の導入を支援するという。
| 企業 | パートナー企業 | 発電技術 | 電力供給量(目標) | 実現時期(年) |
|---|---|---|---|---|
| Microsoft | Constellation Energy | Restarted PWR (Three Mile Island) |
835 MW | 2028 |
| Kairos Power | Fluoride Salt-Cooled SMR | 500MW | 2030 | |
| Amazon | X-energy | High-Temp Gas SMR (Xe-100) | 5GW(最終的な目標) | 2030年以降 |
| Oracle | Unknown | SMR | 〜1GW | 未定 |
しかしこうした技術は、依然として長いタイムラインを要する。Googleが支援する地熱発電スタートアップFervo EnergyのCEOであるTim Latimer氏は「労せずして成果は得られないし、全ての問題を解決できるような魔法のつえもない。Googleはそれについて、他の同業者よりもずっと早く理解していたのだろう」と述べる。
Googleは、エネルギー資産を保有することで明確なメリットを得られるが、一方で新たなリスクも生じる。開発企業を管理することで「エネルギーパーク(Energy Park)」モデルを用いて、データセンターを電力供給源の近くに配置できるようになる。こうした対応により、送電混雑料金を回避し、電力品質を維持することも可能だ。IntersectのKimber氏は、その規模を拡大する必要性を強調し「物理インフラの分野では、超巨大企業にならなければ、重要な交渉の席に着くことさえできない」と述べている。
2030年が近づくにつれ、テック企業と電力会社の境界線はますます曖昧になっていくだろう。「ハイパーグリッド」モデルは、データセンターが受動的なユーザーから電力網への能動的な参加者へと移行し、同じAIツールを使用して需要ピーク時のコンピューティングを削減すると予測している。Googleは、電力網に負荷がかかっているときに「カーボンインテリジェント・コンピューティング」を使用して緊急ではないタスクを一時停止し、応答リソースとして機能することで、これを既に示している。
AlphabetのCEOであるSundar Pichai氏は、これらの大規模な投資をしても供給は追い付かないだろうとし、DeepMindの研究所と顧客からの需要は、同社が提供できる新しいコンピューティングパワーを上回ると予想した。
Intersect Powerを買収したことは、巨大なテクノロジー企業各社にとって、エネルギーが単に購入するものではなく、管理するものになっていることを示している。AI時代の重要な課題は、このアプローチが老朽化した米国の電力網の限界を克服できるかどうかにある。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
排熱をAIの計算資源として利活用する新技術、京都大と京セラ
AIは「バブル」ではない――桁違いの計算量が半導体に地殻変動を起こす
AIにこそ「汎用プロセッサ」を 米新興が省エネチップを開発
80TOPSを5W以下で 韓国DEEPXの「本気」示すエッジAIチップ
SAIMEMORYの新構造メモリ 低消費電力に焦点
AI時代のニーズ捉え開発加速、キオクシア次期社長の展望Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング