第2の柱となるモノづくりの革新では、現場における実践知とAIの融合により、「圧倒的なQCD(Quality Cost Delivery:品質、コスト、納期)」を実現するという。「設計開発の現場ではAI主導で各工程の自動化、最適化を実施し、高付加価値の爆速提供を目指す。工場では職人の技能や改善力、ロボットの内製開発技術など培ってきたノウハウをデータ化し、人間にしかできなかった複雑な工程も自動化していく」(山崎氏)
フィジカルAIの活用に向けて高度設備保全人材も拡充し、2028年度までにトップアインシュテラー(日常点検から予防保全、不具合解析、修理までできる高度技能人材)7000人の体制を構築する。2027年に完成予定の善明南新工場(愛知県西尾市)では、AIよる新たな取り組みを進めるとした。
第3の柱となる人づくり・パートナー共創では、高度専門人材の増強や育成、さまざまなパートナーとの連携による社会課題解決を目指す。一例として、2026年3月30日に発表した東京大学との産学協創協定を挙げ、「走行中無線給電システム(DWPT:Dynamic Wireless Power Transfer)を実現すれば、自動車の充電時間ゼロ、電池損失10分の1といった嬉しさを届けることができる。2029年度の市場投入を目指して開発中だ」(山崎氏)とした。
デンソーは2026年3月に、ロームに株式取得に関する提案を行っていることを明らかにしている。株式取得の判断に至った経緯を聞かれた林氏は「ロームは省電力や300mmの大口径ウエハーといったデンソーにない技術を持っていて、技術的なシナジーが大きい。半導体の専業メーカーとして培ってきた、顧客とのネットワークや信頼関係などもある。ものづくりの考え方でも親和性があり、お互いの強みを生かしあって顧客価値を高められると考えた」と語る。
一方、ロームは東芝や三菱電機、日本産業パートナーズ(JIP)、TBJホールディングスとの間で、半導体/パワーデバイス事業の事業統合および経営統合に関する協議開始に向け、基本合意書を締結したと発表した。今後については「どうなっていくかは分からないが、車載や民生、産機のボーダーを超えて顧客価値を高めていくことが、日本の半導体産業の競争力の強化につながる。そのスタンスで、可能性を排除せずに広く考えたい」(林氏)とした。
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