財務改善策の1つとして進めている茂原工場の売却については、複数の候補先と売却協議を進めていると説明。データセンター関連や製造業の複数候補先と売却協議を進めているといい、既に複数の候補先から購入の意向表明を受けているとした。現在、各候補先とデューデリジェンスを繰り返していて「その中で一番良い条件を提示した候補と、最終的な契約を結んでいこうと考えている」とした。
JDIは現在、茂原工場の液晶パネル生産設備を撤去していて、2026年度末までに完了する予定だ。JDIの最高財務責任者(CFO)の平林健氏は売却について「その時点までには引き渡しをしたい」と説明した。
JDIは、ディスプレイ事業において、石川工場とフィリピンの製造子会社Nanox Philippines(以下、Nanox)を活用した供給体制の構築を進めている。Nanoxはディスプレイの後工程を手掛けるJDI子会社で、これまではデジタルカメラ用ディスプレイなど比較的小さい民生機器向け製品を中心に扱ってきた。JDIは同拠点に車載向け製品を扱える設備を導入し、地政学リスクに対応した供給体制を構築していく。
同社は2026年度第2四半期(2026年7〜9月)中に、大型サイズに対応した装置の搬入を開始し、2026年度中に生産体制を立ち上げ、2027年度から生産に寄与させる計画だ。新規設備も一部導入するが、基本的にはJDIや後工程の外注先などで使用実績のある装置を移設する。最終的には、月産20万台規模の車載ディスプレイ組み立て能力を整備するという。明間氏は、この生産能力についてJDIの車載ディスプレイ関連全体の「20〜30%くらいになる」と説明していた。
JDIは既に、石川工場とNanoxを活用する供給体制によって複数の新規案件を獲得。米国の主要顧客からフルディスプレイミラーやHUD(ヘッドアップディスプレイ)プラットフォーム機種を受注しているという。
なお、明間氏は「顧客からは引き続き『Made in Japan』という声を強くいただいている」とも説明。例えば防衛用途などでは日本国内で完結するサプライチェーンも必要となるとし、将来的には後工程を含めた国内サプライチェーンの構築も検討していくとした。
JDIはまた、ディスプレイで培ったTFTバックプレーン技術の新用途への展開も進めている。バイオ分野では、CyteSiとの技術連携によって、微量バイオ試料処理装置用のバックプレーンを開発している。
明間氏は「同装置は従来手作業だった検体や試薬の処理を自動化し、研究や検査工程の効率化、省人化、コスト低減に大きく貢献する。その中で大きな役割を果たすのが、当社の高精細バックプレーンを活用した液滴制御バイオチップだ。石川のマルチファブで製造した高精細バックプレーン上で、検体や試薬の液滴をコンピューター制御により高精度かつ自在に処理できる」と強調。2026年8月から量産投入が開始され「上市最終段階に入っていて、実用化フェーズへ移行しつつある」と説明した。
ディスプレイで培ったTFTバックプレーン技術を新用途へ展開。バイオ分野ではCyteSiとの技術連携によって、微量バイオ試料処理装置用のバックプレーンを開発している[クリックで拡大] 出所:ジャパンディスプレイセンサー関連では、圧力センサー「ZINNSIA」の初回量産出荷も2026年6月に開始した。また、次世代衛星通信アンテナではKymeta向けアンテナ基板を試作/出荷し、量産承認の取得に向けた開発を進めているという。さらに、Obsidian SensorsのMEMSプロセスとJDIのTFTバックプレーンを組み合わせるサーマルイメージングセンサーについても、2027年半ばの高解像度IRセンサー量産に向けた準備を進めているとした。
明間氏は「いずれの案件もまだ成長途上ではあるが、研究開発段階から事業化段階へと着実に進んでいる。『BEYOND DISPLAY』戦略における事業ポートフォリオについては、個別案件の進捗をしっかり積み上げながら、将来の収益の柱へ育てていく」とした。
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