消費電力をさらに抑える
LED照明器具の消費電力は、白熱電球に比べると1/10〜1/5と少ない。さらに、すばやく点灯して調光が比較的容易、光の指向性が高いといったLEDの特性をうまく活用すれば、照明器具の消費電力をより一層低減可能だ――。このような発想に基づいた取り組みがある。
窓から入る光の量に合わせて照明をオン/オフしたり、照明光の明るさを調整したりする照明器具を設計すれば、消費電力を削減できる。すばやく点灯し調光が比較的容易という特性が生きる。具体的には、照度センサーと調光を制御する仕組みを組み合わせて、部屋の明るさを一定に維持しつつLED照明器具に供給する電力を下げる。例えばロームは「ライティング・フェア 2009」で、外部から部屋に入る光の量に応じてLED照明器具の光を細かく調整するデモを見せた(図A)。同社によれば、「夜間の時間帯を想定した場合に80Wだった消費電力を、日中には0.3W程度に抑えられる」とする。
図A LED照明器具の特性を生かして、消費電力をさらに削減 窓から入る光の明るさに合わせて、照明器具の明るさを自動的に調整する仕組みを実現すれば、消費電力を大きく削減できる。白色LED照明のすばやく点灯し、点灯と消灯の繰り返しに強く、調光が比較的容易といった特長が生きる。写真はライティング・フェア 2009でロームが見せたデモの様子。同社の照度センサーと調光制御IC、LED駆動ICを使った。
またパナソニック電工は、人が感じる明るさをうまく照明配置に反映させることを目的にした照明設計支援ツールを開発した。LED照明器具の光の指向性は、既存の光源と大きく異なる。この設計支援ツールを使えば、光の指向性が高いというLED照明器具の特性を生かしながら、最適な明るさを確保する照明配置を実現できる可能性がある。
具体的には、「明るさ感(Feu、フー)」と呼ぶ新たな指標を導入する。「これまでは床の水平面の照度のみを照明配置設計に使うのが一般的だった。しかし、人が感じる明るさと、水平面の照度は異なることがあった」(同社)。そこで、照明の指向性(配向)をはじめ、天井や部屋側面の反射率、窓の数、部屋の形状や大きさといったパラメータを総合的に使って、人の視線に入ってくる明るさを算出する。算出した数値を、例えば「Feu8」といったように表現する。この指標を使えば、照明器具の数や消費電力を削減しながらも、人が感じる明るさを一定に維持することが可能になるとする。このほか、岩崎電気も人が感じる明るさを評価する「光環境評価システム」を開発した。このシステムも、照度だけではなくほかのパラメータも考慮に入れて照明の配置などを最適化しようというものである。光が照射される対象物と周囲環境の輝度を比較するなどして、人が感じる明るさを定量的に評価するという。
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