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リチウムイオン二次電池を超える大容量キャパシタ、イーメックスが開発エネルギー技術 大容量キャパシタ

大容量キャパシタは充放電時間が短く、瞬時に電力を放出できる。ただし、リチウムイオン二次電池と比較してエネルギー密度が低いため、電池を代替することはできない。イーメックスは600Wh/lを実現できる大容量キャパシタ技術を開発したと主張する。

» 2009年06月30日 11時00分 公開
[畑陽一郎,EE Times Japan]

 電気2重層キャパシタや、同キャパシタにLi(リチウムイオン)の移動による効果を加えて、エネルギ密度を高めたリチウムイオン・キャパシタの性能向上が著しい。大容量キャパシタは充放電時間が短く、瞬時に電力を放出できるパワー密度の高さや充放電回数の多さを特長とする。1セル当たり数千Fという静電容量の大きい品種も登場し始めた。

 ただし、体積当たりのエネルギ密度ではリチウムイオン二次電池(100Wh/l以上)にはまったく及ばない。鉛蓄電池を一部代替可能な30Wh/l前後が、量産品のエネルギ密度である。

 イーメックスは、2009年6月、600Wh/lと高いエネルギ密度を備える大容量キャパシタの電極を試作した(図1)。

ALT 図1 イーメックスの試作した電極(従来版)

 イーメックスのキャパシタの基本的な構造は、電気2重層キャパシタと同じである。ただし、対向する活性炭電極は利用しない。フッ素樹脂イオン交換膜内部に金錯体分子を浸透させ、還元するという工程を繰り返すことで、表面積の大きいAu(金)電極を形成する。複雑な樹形構造を採るようAu電極を形成することで、静電容量を高めている。

 イーメックスは従来、160μm厚のイオン交換膜を用いて100Wh/lというエネルギ密度を達成していた。「今回はセパレータに要していた部位などを削り、イオン交換膜の厚さを50μmまで薄くすることで、静電容量を高めることができた」(イーメックスで専務取締役を務める大西和夫氏)。電極の面積自体は従来と変わらないという。

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