米国の市場調査会社であるiSuppli社は、米Spansion社が経営再建に追われている間に、競合企業であるスイスNumonyx社が2009年第2四半期のNOR型フラッシュ・メモリー市場で首位に返り咲いたと発表した(表1)。
iSuppli社の発表によると、2009年第2四半期におけるNumonyx社のNOR型フラッシュ・メモリーの売上高は、前期比5000万米ドル増の3億8000万米ドルに達し、第2四半期の同市場でのシェアは34.6%を獲得したという。
一方、同じ四半期のSpantion社の売上高は前期比2200万米ドル減の3億7600万米ドルにとどまり、同市場でのシェアは34.2%に下落したとiSuppli社は報告している。
iSuppli社でストレージとモバイル・メモリーを担当するシニア・アナリストであるMicheal Yang氏は、「Spansion社とNumonyx社*1)は、過去5年間にわたってNOR型フラッシュ・メモリー市場で首位の座をかけて競争しており、その座は何度も入れ替わった」と説明する。「2009年第2四半期では、Numonyx社が一歩前に出て、首位を走る番となった」(同氏)。
同氏は、この2社の競争が2009年初めに興味深い転機を迎えたことに注目している。その転機とは、Spansion社が米連邦破産法第11条の下で破産保護を申請し、注力する市場分野を無線分野から組み込み分野にシフトさせたことである。同氏は、「この結果、無線分野の市場が大きく空くことになった。そして、NOR型フラッシュ・メモリーを手掛けるほかの企業、特にNumonyx社と韓国Samsung Electronics社が携帯電話機市場で戦い、ビジネス・チャンスを手に入れた」という。
さらに同氏は、「Numonyx社は、経営再建中のSpansion社を今後も引き離すだろう」と指摘する。
iSuppli社によると、無線通信機器、特に携帯電話機は、NOR型フラッシュ・メモリー市場の中で単一市場としては最大であり、こうした機器ではプログラム・コードの格納にNOR型フラッシュ・メモリーが使われているという。
同社によれば、2009年第2四半期におけるSamsung Electronics社のNOR型フラッシュ・メモリーの売上高は、前期の9800万米ドルから19.8%増と大きく伸びて1億1700万米ドルに達し、10.6%の市場シェアを獲得に第3位の座を守ったという。
さらに、NOR型フラッシュ・メモリー市場の上位5社に、台湾Macronix International社と米Silicon Storage Technology社が入り、いずれも2009年第2四半期に売上高を伸ばしたとiSuppli社は報告している。
「Spansion社は経営再建の困難を乗り越えて、今後もフラッシュ・メモリー市場における有力なプレーヤとして残ることを確信している」とiSuppli社はコメントしている。さらに同社は、「景気回復とともにSpansion社の業績は回復し、以前とは異なる市場分野において有力なプレーヤとして再登場し、揺るぎない地位を占めるだろう」と予測する。
iSuppli社が発表したNOR型フラッシュ市場に関する最新報告書は、同社のウェブサイトで販売されている。
【注釈】
*1. Numonuxy社は、米Intel社とスイスST Microelectornics社からスピンオフして2008年に設立された。ここでいう5年間とはNumonyx社の前身である2社とSpansion社との競争を含む。
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