米Qualcomm(クアルコム)社は、MEMS技術を使用した5.3インチ型のフルカラー・ディスプレイを発表した。2010年秋には、これより一回り大きい5.7インチ型のディスプレイを搭載した電子ブック・リーダーが発売される予定だという。この機器に搭載されるディスプレイは1024画素×768画素から構成されており、1インチ当たりの解像度は220画素となる。
同社のMEMS技術部門でマーケティング・ディレクタを務めるCheryl Goodman氏は、ロンドンで開いたプレス発表会で「2010年の第1四半期には、Eリーダー開発のパートナー企業を発表する予定だ」と語った。
Qualcomm社は、2004年9月に買収した米Iridigm Display社の「Mirasol」ディスプレイ技術を適用して、今回発表したフルカラー・ディスプレイを開発した。同技術はバックライトを使わず、周辺光を反射させて光源として利用する。
Mirasol技術は、MEMS構造と薄膜光学を組み合わせて実現した干渉変調(IMOD)技術を利用して色を表現する。IMODディスプレイは薄型の双安定ディスプレイで、必要な電力はディスプレイの状態を変更する際に使うわずかな電力だけであるため、消費電力を大幅に削減できる。これは、電子ブック・リーダーのような携帯型機器にとって大きな利点となる。さらにIMODディスプレイは、毎秒30フレームの速度で動画を再生できるという。
Qualcomm社は、米Amazon社の電子ブックリーダー「Kindle」向けに3Gワイヤレス・モデムを提供した実績がある。また2009年2月には、Mirasolディスプレイを搭載した携帯電話機を共同開発することで韓国LG ELectronics社と合意に達している。
Mirasol技術はすでに数機種の携帯電話機に搭載されているが、現在のところはまだモノクロの小型ディスプレイだけだ。
なお、Qualcomm社は2008年5月、台湾の桃園にあるLungtan Science Park(龍潭サイエンスパーク)にMirasolディスプレイ専用の製造工場を建設することで台湾Cheng Uei Precision Industry社と契約を締結している。
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