市場調査会社である米iSuppli社によると、2010年3月4日に台湾南部で発生した地震の影響を受け、台南サイエンス・パーク(Tainan Science Park)に工場を持つ液晶パネル・メーカーは、大型液晶パネルの生産を見合わせているという。
iSuppli社によると、「今回の地震の影響で、液晶パネル・メーカーである台湾Chi Mei Optoelectronics(CMO)社と台湾HannStar Display社は台南工場での大型液晶パネルの製造を一時的に停止している」という。
この地震によって、台南では液晶ガラス基板の製造も止まっている。世界の液晶ガラス基板のおよそ5%を供給している台湾Avanstrate社は、台南工場で5基のガラス溶解炉を稼動させていた。iSuppli社の第一報によると、5基のうち1基が深刻な損傷を受けたという。
2010年1月の時点では、CMO社は大型液晶パネルの製造で世界第4位につけ、液晶パネルの世界出荷数の13.3%を占めていた。HannStar社は世界第7位で、世界出荷数に占める同社の割合は3.0%だったという。
世界第3位の液晶パネル・メーカーである台湾AU Optronics(AUO)社が、地震の影響を受けたかどうかは定かではない。同社は2010年1月の時点で、世界出荷数の17.5%を占めていた。
iSuppli社で液晶パネル調査部門のシニア・ディレクタを務めるSweta Dash氏は、「今回台湾南部を襲った地震は、大型液晶パネルの供給量に大きな影響を与える可能性がある。影響の度合いは、台南工場で各メーカーが液晶パネルの製造をいかに早く再開させるかによって変わる」と述べている。
「一般に、液晶パネル工場が停止すると、製造再開までに12〜24時間かかるとされている。装置に損傷があるようなら、停止期間は長くなるだろう。CMO社とHannStar社は損傷を受けた装置の検査を続けているが、その結果によっては製造停止期間が長引く可能性もある」(同氏)という。
iSuppli社は今回の地震よりも以前に、2010年第1四半期の大型液晶パネルの世界出荷数は、2009年第4四半期と比べて5.5%減少するという予測を発表している。
半導体ファウンドリ企業である台湾TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)社と台湾United Microelectronics(UMC)社も大地震の影響を受けた。両社は、地震の影響について、「半導体製造がおよそ1日半停止した」としている。
この地震は台湾南部で発生し、マグニチュードは6.4だった。死者は報告されていないが、64人の負傷者が出た模様だ。この地震によって、台湾にある多くの技術関連企業の業務が停止した。
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