米国の電子部品関連標準化団体「JEDEC Solid State Technology Association」は、新しい規格「JEDEC DDR3L(DDR3 Low Voltage)」を、既存のメモリ標準規格「JESD79-3 DDR3」に追加したと発表した。DDR3Lは、今日のDRAM業界で優勢を維持しているDDR3からさらに進化し、PCやサーバ、ネットワーク機器など、メモリを搭載するさまざまな機器の消費電力量を削減できるという。
DDR3Lは、DDR3の低電圧版だ。駆動電圧は、既存のDDR3対応デバイスが1.5Vであるのに対し、DDR3L対応デバイスでは1.35Vである。DDR3L対応デバイスは、DDR3対応デバイスとの機能的な互換性を備える。ただし、すべてのデバイスが両規格の電圧範囲内で相互運用できるわけではないようだ。
DDR3L規格は、DDR3L対応メモリデバイスの動作特性を定義する。DDR3L対応デバイスの消費電力量は、プロセッサの処理性能や使用済みメモリ容量などが同じ条件の場合、既存のDDR3と比べて15%、DDR2と比べて40%も削減できるという。特に、メモリを多く使用するシステムの場合は、消費電力量を削減することにより、電力需要の節減やシステム冷却要件の緩和、パッケージ密度の向上など、大きなメリットが得られる。
米Micron Technology社のDRAMマーケティング担当バイス・プレジデントを務めるRobert Feurle氏は、「JEDEC DDR3L規格は、エネルギ効率の高い機器を実現できるため、環境に優しいだけでなく、製造業者やユーザーにも大きなメリットを提供する。メモリの消費電力量は、当社の顧客企業にとっても極めて重要な課題だ。パフォーマンスに影響を及ぼすことなく電力消費量を削減できる手段として、DDR3L規格の展開を後押ししていきたい」と述べている。
また、米Advanced Micro Devices(AMD)社でコーポレート・バイス・プレジデント兼クライアント部門担当CTOを務めるJoe Macri氏は、「サーバ市場でJEDEC DDR3Lが採用されれば、即座にその効果が現れるだろう。最近は特に、かつてないほど厳しい環境要件への対応が迫られている。パフォーマンスを低下させることなく、消費電力量の削減や冷却要件の低減を実現できれば、絶大な効果が期待できる」と述べている。
すでに一部のメーカーは、数量に限りがあるものの、1.35Vの対応デバイスの出荷を開始している。さらに、JEDECの加盟企業は今後、対応デバイスを続々と出荷する予定であるため、さまざまなメーカーからDDR3L対応デバイスを入手できるようになる。DDR3Lは、基本的な仕様に変化がなく、ほとんどのシステムにおいてわずかな修正のみで使えるため、迅速に導入が進むとみられる。
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