ブロードコムは、低消費電力の有線イーサネット規格「IEEE 802.3az」に準拠した半導体チップの製品群を発表した。
IEEE 802.3az規格は、2010年9月30日に正式に発行されたばかり。「LPI(Low Power Idle)」と呼ぶPHY層処理の待機モードを新たに用意したことで、平均消費電力を削減する。
同社は、IEEE 802.3az規格のドラフト版に対応したPHY処理チップやイーサネットコントローラICのサンプル出荷を始めていた。2010年9月30日のIEEE 802.3az規格の正式発行に合わせ、同社の製品群が規格に準拠していることを正式に発表した。
低消費電力の有線イーサネット規格が策定された背景には、有線イーサネットが高速化するにつれ、消費電力が無視できないレベルに増大してきたことがある。「IEEE 802.3azに準拠した当社の製品を採用することで、消費電力を最大70%削減できる」(同社)という。
LPIモードに切り替えるタイミングを決めるコントロールポリシーは、チップベンダー各社が独自に規定する。「システム全体の稼働状況をモニタリングしつつ、消費電力の削減量を最大化するコントロールポリシーを規定した」(同社のOffice of the CTOのTechnical Directorを務めるWael William Diab氏、図1)という。
PHY層処理チップの変更で準拠可能
ブロードコムがIEEE 802.3az規格に準拠したイーサネットへの置き換えをスムーズに促す技術と位置付けるのが、「AutoGrEEEn」である。
AutoGrEEEnは、半導体チップをIEEE 802.3az規格に対応させるための独自技術。AutoGrEEEn技術を採用したPHY層処理チップを使えば、MAC層処理機能を搭載した既存の半導体チップはそのままに、IEEE 802.3az規格準拠の低消費電力モードでシステム全体を動かせる。
PHY層処理とMAC層処理を別の半導体チップが担当しているときに、特に有効だ。一般に、MAC層処理回路はさまざまな機能とともに集積されることが多い。既存のMAC層処理がそのまま使えれば、システム変更が少なくて済む。「PHY層処理チップを変えるだけで、IEEE 802.3az規格に準拠できるインパクトは大きい。このような技術を有しているのは当社だけだ」(同氏)と説明した。
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