インテルは、同社のAtomプロセッサとアルテラのFPGAそれぞれのベアチップをSiP(System in Package)技術で1個のパッケージにまとめて封止した「E600C プロセッサー・シリーズ」を製品化した。第1弾として6品種を投入する。インテルは、AtomとFPGAのSiP品そのものについては「Stellarton」と呼んで2010年9月に発表しており、今回は具体的な製品の発表である。同社はこの製品を、Atomプロセッサによる組み込み機器市場への取り組みを拡大するものだと位置付ける。
E600Cシリーズは、組み込み機器の設計者がAtomベースの製品をより短い期間で市場に投入できるように支援することを狙う。FPGAを利用すれば、開発対象の機器ごとに異なるインターフェイスや独自機能に対する要件に応じて、このSiP品をカスタマイズできる。
第1弾となる6品種のうち、ハイエンド品は1.3GHz動作のAtomプロセッサを内蔵する。このプロセッサは、400MHz動作のグラフィックス処理ブロックを集積しており、消費電力は3.6Wである。価格は106米ドルに設定された。ローエンド品は、320MHz動作のグラフィックス処理ブロックを備える600MHz動作のAtomプロセッサを搭載し、消費電力は2.7W、価格は61米ドルである。
パッケージの面積は37.5mm2で、この中にAtomプロセッサのほか、6万個以上のロジックエレメントを集積するFPGAが収められている。このFPGAは、6チャンネルの高速シリアルトランシーバを搭載し、I/Oピン数は350を超えるという。これらの高速トランシーバは、最大3.125Gビット/秒で動作するほか、840Mビット/秒動作のSERDES(シリアライザ/デシリアライザ)でLVDSリンクもサポートできる。
FPGAのハードウエアはアルテラの開発ツール「Quartus IIサブスクリプション・エディション」でプログラムできる。FPGAにはPCI Expressのロジック部やDSP乗算器、内部メモリなどが実装される。インテルは、FPGAに集積されたロジックエレメントのうちユーザーが独自のロジックを実装できる領域のサイズについては明らかにしていない。 今回の6品種のうち、上位4品種の「E665CT」「E645CT」「E665C」「E645C」は2011年11月24日から60日以内に出荷を始める予定だ。下位2品種の「E625CT」「E625C」は、2011年第1四半期に出荷する計画である。
組み込み機器向けボードの設計/製造企業であるドイツのKontronは、E600Cベースのプロトタイプボードの提供を始めており、2011年第2四半期にはフル生産に入る予定だ。
E600Cシリーズは7年間の製品サポートが付いており、産業向けと商用向けそれぞれの動作温度に対応するオプションも提供する。具体的には、0℃〜70℃動作品と、−40℃〜85℃動作品を用意した。
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