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無線モジュール手掛けるInsight SiP、独自アンテナなどで小型化実現無線通信技術

われわれが黒子となり、機器メーカーやモジュールベンダーに協力したい・・・。無線通信モジュールやSiP(System in Package)の開発を手掛けるInsight SiPは、小型で高集積なデバイスの開発を進めている。

» 2011年01月07日 15時59分 公開
[前川慎光EE Times Japan]

 われわれが黒子となり、機器メーカーやモジュールベンダーに協力したい・・・。無線通信モジュールやSiP(System in Package)の開発を手掛けるInsight SiPは、小型で高集積なデバイスの開発を進めている。

 まず、8mmx12mmx1.4mmと小型のパッケージに無線通信チップやアンテナ、整合回路を実装したBluetooth 4.0規格準拠のシングルモード通信用SiPを開発した(図1)。Bluetooth規格の標準化団体である「Bluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)」の4.0規格の認証を、2010年10月末に受けたばかり。業界で初めてBluetooth SIGの4.0規格認証を受けたモジュールだという。

図1 図1 Bluetooth 4.0規格に準拠したシングルモード通信用SiP
無線通信チップには、ノルディックセミコンダクターの「nRF8001」を採用した。8mmx12mmx1.4mmと小型のパッケージに無線通信チップやアンテナ、整合回路を実装した。出典:Insight SiP
図2 図2 高速無線通信技術「WHDI」に対応した通信モジュール
送信側のモジュールで、外形寸法は44.4mm×26.8mm×5mmである。2011年2月には、送信側の半分程度に寸法を削減した受信側の通信モジュールの提供を始める予定だ。出典:Insight SiP

 さらに、2010年11月には、ハイビジョン(HD)映像の無線伝送に向けた「WHDI(Wireless Home Digital Interface)」に対応した通信モジュール(送信側)の提供を始めた(図2)。WHDIは、イスラエルに本社を構えるAMIMONが推進している高速無線通信規格である。送信側通信モジュールは、PCI技術の標準化団体「PCI-SIG(PCI Special Interest Group)」が規定した「Display-Mini Card」に準拠しており、外形寸法は44.4mm×26.8mm×5mmである。2011年2月には、送信側の半分程度に寸法を削減した受信側の通信モジュールの提供を始める予定だ。

 独自のブリッジソフトウエアを開発

 Insight SiPは、無線通信モジュールやSiPの設計受託や設計開発を専業にしているベンチャー企業である。2005年に設立され、本社はフランスにある。設立以降、無線通信モジュールやSiPの設計受託を主な事業としてきたが、2009年末には自社開発事業を立ち上げた。同社のビジネスモデルは、機器メーカーや無線通信モジュールを手掛けるベンダーに、無線通信モジュール/SiPの設計情報を提供するというものである。

 同社が、高集積で小型の無線通信モジュール/SiPを設計できる理由は、主に2つあるという。1つは、電磁界シミュレーションと、プリント基板上に部品を配置し、配線を設計する開発ツールを、うまく橋渡しするソフトウエアを独自に開発したこと。

 もう1つは、プリント基板の複数の層にアンテナを作り込む特許技術を有していることである(図3)。「さまざまな条件下で、回路とアンテナをきっちり整合させられる。しかも、アンテナの実装面積を削減しつつ、十分な利得を得られる」(Insight SiPの日本代表を務める塚越明義氏)と主張する。このほか、LTCC(Low Temperature Co-fired Ceramics)や、IPD(Integrated Passive Device)といった高密度実装技術を活用して、無線通信モジュールやSiPを実現することも特徴だ。

 Bluetooth 4.0通信用SiPやWHDI通信用モジュール以外にも、450MHz帯用と2.4GHz帯用の2つの無線通信チップや共用アンテナを、microSDカードに実装するといった開発事例がある。60GHz帯を使ったミリ波通信に向けた試作品の研究開発も進めている。

 塚越氏は、「無線通信モジュール/SiPの寸法やコスト、開発期間といった総合的な観点で当社のサービスは、顧客に大きなメリットがあるだろう。設計の変更に柔軟に対応することも当社の特徴だ」と説明した。

図3 図3 Bluetooth 4.0規格のシングルモード通信用SiPを使った参照設計
右上がInsight SiPのSiPを使った参照設計。独自アンテナを採用し、小型化を追求することで、SiPを実装したプリント基板の面積を16mm×28mmに抑えたという。出典:Insight SiP

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