Creeは、「革命的なLED電球を開発した」と発表した。これで「前世紀の照明器具を一掃する」と豪語する。
同社は今回、米国エネルギ省(DOE:Department of Energy)の省エネ基準規格「Energy Star」が定めた60W級の交換用標準LED電球の要求仕様を満たすA形LED電球を披露した。同社独自の「TrueWhite」技術と、リモートフォスファ(remote phosphor)技術を適用したという。
同社によると、今回試作した電球は調光が可能で、白熱電球に相当する2700Kの色温度が得られ、演色数(CRI:Color Rendering Index)は少なくとも90だという。また、光束は800lm(ルーメン)を確保し、消費電力は10Wを下回る。現在、この試作品を第三者機関に提出し、配光や光束維持率、性能などを検証しているところだという。
Creeの主張によると、現在市販されているA形LED電球の中には、Energy Starの60W級交換用標準電球の要求仕様をこのレベルの効率と光品質で満たすものは1つも無いという。
同社のチェアマン兼チーフエグゼクティブを務めるChuck Swoboda氏は、報道発表資料の中で、「今回の開発は、業界における重要なマイルストーンとなる。コストが低くエネルギ効率が高いLED電球を商品化しようとする開発競争の中、業界ではLED電球が置き換えようとしている従来技術と同等の光の品質を実現する必要性が忘れられている。今回当社は、業界で初めて、60W級白熱電球を一切の妥協無く置き換えられるLED電球を開発した」と述べている。
また、Creeの広報担当者は、「当社がA19形の交換用LED電球を発表するのは、今回がまったくの初めてだ。Energy Star規格の指標を満たしたという点で、当社にとっても業界にとっても、これまでとは違った意味を持つ成果だといえる」と語った。
さらに同担当者は、「当社が今回発表しているのは、製品そのものではなく、実証の成果だ。この成果をどのように市場に投入するのかについては、まだ確定していない。販売価格も未定だが、低コストを実現する設計を採用している。実証成果をこのように発表した理由は、白熱電球のような色合い(2700Kの色温度)を実現する60W級の交換用LED電球(800lmを超える光束を、10Wを切る消費電力で出力)の製造が可能であることを、LED照明業界に対して示すためだ」と付け加えた。
しかしCreeは、製品の市場投入では他社に先を許している。ロイヤル フィリップス エレクトロニクスは2010年10月に、既存の60W形電球を置き換える高品質なLED電球の新製品を投入した。しかもこのLED電球は、米国照明協会(ALA:American Lighting Association)や省エネコンソーシアム(CEE:Consortium for Energy Efficiency)、米エネルギ省の認証を取得済みだ。
一般家庭でもホテルなどの商業施設でも、密集した60W形電球をこのフィリップスの新製品で置き換えれば、従来型光源に比べて消費電力を最大80%削減できるという。また、製品寿命にわたって、2万5000時間の使用時間に相当する最大125米ドルを節約できるという。さらに、既存の電球の中でも最も耐用時間が長いため、メンテナンス費用も最小限に抑えられる。
この他にも、Lighting Science Group(LSG)が2010年末に、米国内で最も広く使用されている60W形白熱電球を置き換える、A19形LED電球の新製品を発表している。2011年1月に販売を開始しており30米ドルを下回る価格で店頭に並ぶ。このLED電球は、光束が850lm、消費電力は13Wで、既存の60W形白熱電球と比べて効率が75%高く、寿命は23年近くに達する。フィリップスが最近発表した新製品である60W形相当のLED電球「AmbientLED A19」と比べて、価格が低いだけでなく、2倍長い寿命と、高い光出力を実現している。
LSGの広報担当者は、「Creeの広報担当者が、同社の新しいLED電球がEnergy Star規格に準拠する唯一のものだと主張しているようだが、これに対しては反論したい。当社のLED電球は、販売価格が30米ドルを下回る上に、Energy Star規格の認証についてもすでに申請済みだ。2011年秋までには、認証を取得できると確信している」と述べている。
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