インテルがハードウエアとソフトウエアの協調設計に関する研究を加速させている。同社は、Intel Labs Europe(ILE)で同研究プロジェクトに携わる研究者の数を4倍に増やしたという。
インテルがハードウエアとソフトウエアの協調設計に関する研究を加速させている。同社は、Intel Labs Europe(ILE)で同研究プロジェクトに携わる研究者の数を4倍に増やしたという。この研究プロジェクトは、インテルがスペインのバルセロナに構える拠点と、メニーコアプロセッサの研究センターがあるドイツのブラウンシュワイクの拠点に所属する研究者のチームによって遂行されている。インテルによれば、このプロジェクトは順調に進んでいるものの、現時点では詳細を発表する予定はないという。
ILEのディレクターを務めるMartin Curley氏は、アイルランドのシャノンで開催した報道発表会で、「この研究は非公開のプロジェクトとして進めているが、極めて順調にいっている」と述べた。
ILEは、インテルが欧州諸国で事業部横断的な研究開発に取り組む組織体として、2009年の初頭に設立した。ILEが手掛ける研究のうち一部はオープンで、パートナー企業と共同で研究に取り組んだり、欧州連合(EU)が出資する公開研究プロジェクトに参加したり実施母体を務めたりしている。インテルには、非公開の研究開発プロジェクトが実用化や製品化に近づくほど、情報公開の制限が厳しくなるという傾向がある。
ILEのCurley氏は、ハードウエアとソフトウエアの協調設計に関するプロジェクトが順調に進んでいることから、研究者の数をこれまでの4倍に増やしたという。これまではILE内の50人の研究者が参加していたが、インテルの世界中の研究拠点に所属する研究者も合流させ、合計200人の体制に拡大した。「200人の研究者が参加すれば、より多くの成果を期待できる」(同氏)。
インテルは今回の研究体制の拡充で、システムの最初の仕様を完成させる他、動作記述ツールや構造設計ツールを使ってデザインを詳細レベルで仕上げる処理を自動化することを目指すとみられる。Curley氏は、このプロジェクトの成果によって、インテルにおけるメニーコア型システムオンチップ(SoC)の開発を支援できると期待しているという。
2009年の設立時、ILEの年間予算は約1億ユーロ(約1億4000万米ドルに相当)で、職員数は800人だった。Curley氏によると、現在では年間予算は1億3000万ユーロ(1億8000万米ドルに相当)に増額され、職員数は1200人近くまで増加した。また現在では、西はアイルランドから東はイスラエルまで、24もの拠点を擁しており、共同研究に取り組む社外のパートナーは250社以上になるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.