携帯型機器に搭載するCMOSイメージセンサーの生産は震災の影響を強く受けたが、一部の製造を再開できた。
近年、携帯電話機やノートPCへのCMOSイメージセンサーの採用事例が増えている。2011年3月11日に発生した東日本大震災は、CMOSイメージセンサーの供給にも影響を及ぼした。さらに影響は、携帯電話機向けカメラモジュールの製造や販売にも波及している。
米国の市場調査会社であるIHS iSuppliによると、CMOSイメージセンサー大手2社の2つのウエハー工場が3月11日の地震以降、閉鎖されているという。この2社は、CMOSイメージセンサーの世界供給量の約17%を担っている。
IHS iSuppliは、工場が地震で受けた被害の大きさや、サプライチェーンが回復するまで、携帯電話機メーカーが在庫を使って製造を続けられるかどうかについては言及していない。
岩手東芝エレクトロニクスは、携帯電話機向けカメラのロジックチップとCMOSイメージセンサーを製造している。同工場は4月に一部の運用の再開を予定していたが、4月7日〜11日に発生した強い余震で再び被害を受けたものの、4月18日に一部生産を再開した*1)。
*1)訳注 東芝は、岩手東芝エレクトロニクスが製造していた一部製品の製造を、既に大分工場や姫路半導体工場、加賀東芝エレクトロニクスで対応したと4月18日に発表している。
同じく、CMOSイメージセンサーを製造するソニーのウエハーファブでも、地震による供給の遅れが生じた*2)。ソニーはほとんどの工場を再開しているが、4月7日の余震で再び影響を受けたという。
*2)訳注 ソニーは、地震などからの直接の被害を受けなかった一部の製造事業所においても、計画停電や原材料・部品などの調達状況に応じて生産活動の調整を行っていると、2011年4月6日に発表している。
IHS iSuppliによると、東芝の市場占有率は、携帯電話機向けイメージセンサーで13.1%(2010年)。世界第5位である。ソニーは3.9%で、第6位だった。
CMOSイメージセンサーへの影響に対し、一部のデジタルスチルカメラに使われているCCDセンサーには今回の震災の影響はほとんどなかったという。これは、ソニーやパナソニック、富士フイルム、シャープ、東芝などの日本メーカーがCCDイメージセンサーの供給をほぼ独占していることから考えると、少し意外である。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.