2009年から続いてきた両社間の訴訟合戦は収束する。Nokiaは携帯電話機の売上高ランキングで1位の座をAppleに譲ったばかりであり、5月末には売上高の予測値を下げていた。今回の合意により、Nokiaの財務状況が改善する可能性がある。
NokiaはAppleとの間で特許ライセンス契約を締結したと発表した。これに基づきAppleは、一時金を支払うとともに、継続的にロイヤルティーを支払っていくという。ただし、金額については明らかにしていない。今回の契約によって、両社の間で繰り広げられていた特許訴訟が和解に達することになる。
Nokiaによると、両社は今回の和解条件に基づき、米国際貿易委員会(ITC:International Trade Commission)に対して互いに申し立てていた訴訟を取り下げるという。ただしNokiaは、契約条件の詳細について公表していない。
NokiaとAppleは2009年末以降、ITCをはじめとする裁判所に対して、互いに提訴し合ってきた。Appleが初代「iPhone」を発売して以来、両者のライバル関係は過熱する一方だった。英国の市場調査会社であるStrategy Analyticsによると、Appleは、2011年第1四半期における全世界の携帯電話機の売上高ランキングで第1位の座を獲得し、Nokiaを追い越したという(関連記事「Appleが携帯電話機売上高で首位に躍進、2011年第1四半期」)。
Nokiaで社長兼CEOを務めるスティーヴン・イーロップ(Stephen Elop)氏は、発表資料の中で、「今回のライセンス契約に合意できたことを大変うれしく思う。これを機に、モバイル通信市場において、さらなるライセンス契約を獲得できるチャンスが広がっていく」と述べている。
Nokiaは過去20年間にわたり、研究開発費として約430億ユーロ(2011年6月の為替レート換算で約623億米ドル)を投じてきたという。同社はこれまでに、1万件以上の特許を保有しており、無線業界において最も強力な幅広い特許ポートフォリオを築いてきたと主張する。
Nokiaは2011年第2四半期の業績見通しを修正したばかりだが、今回のAppleとの契約合意によって、財務状況にプラスの影響が及ぶと期待している。Nokiaは以前に、2011年第2四半期における機器とサービス部門の純売上高が、61億ユーロ(88億米ドル)から66億ユーロ(95億米ドル)の間になると予測していた。しかし同社は2011年5月末に、この予測を修正し、はるかに下回る見込みだとしていた。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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