事業方針説明の前に、2011年度(2012年3月期)第1四半期の決算と通期の業績予想が発表された。
ルネサスの第1四半期の業績は、主力工場である那珂工場(茨城県ひたちなか市)の長期の操業停止をはじめ、東日本大震災による影響を大きく受けた。全社売上高は直近の前四半期(2010年度第4四半期)比25%減の2072億円、半導体売上高は同26%減の1840億円と大幅に減少した。半導体売上高を事業別に見ると、マイコン事業が同19%減の772億円、A&P事業が同18%減の629億円、SoC事業が同44%減の330億円となった。
654億円にのぼる半導体売上高の減少額のうち、工場の操業停止による影響が約300億円を占める。また、東日本大震災の影響で部品調達が滞った国内自動車メーカーの生産調整により、車載半導体の需要が大幅に落ち込んだ。さらに、携帯電話機や民生用機器向けのSoCの需要が急減したことも追い打ちをかけた。
売上高の減少により損益も悪化した。営業損益は同295億円悪化の191億円の損失、経常損益は同280億円悪化の203億円の損失、純損益は同230億円改善の332億円の損失となった。今期の純損益には、那珂工場における操業休止の固定費を中心とする特別損失が119億円計上されている。
2011年度の通期業績については、全社売上高が前年度比10%減の1兆190億円、半導体売上高が同11%減の9080億円、営業損益が同425億円悪化の280億円の損失、経常損益が同380億円悪化の370億円の損失、純損益が同750億円改善の400億円の損失と予想している。第2四半期の半導体売上高は、東日本大震災の影響が残るものの前四半期比22%増の約2240億円となる見込み。2011年度の下期については、自動車メーカーの生産量の回復や震災からの復興需要により、2010年度下期並みとなる約5000億円の半導体売上高を確保できる見通し(図5)。下期の損益についても、営業損益、経常損益、純損益とも黒字を確保できるもようだ。
また、那珂工場の復旧が、2011年6月10日発表時点よりもさらに進展していることが明らかになった。同年9月末時点における那珂工場の生産品目の供給量は、地震発生前を約10%上回るレベルに達する見通しだ。この時点で、那珂工場の生産再開品の出荷量は、地震発生前の約50%まで回復しており、これにルネサスグループの工場やファウンドリでの代替生産品が加わることとなる。
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